屋根修理におけるカバー工法と葺き替え工事の違い

屋根修理におけるカバー工法と葺き替え工事の違い

2024/05/21

屋根材が大きく劣化している、破損がひどいという場合には大規模な補修工事が必要となります。
そういった際には「カバー工法」と「葺き替え工事」という2つの方法があります。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、それらをしっかり踏まえた上で選んでいくと失敗しない屋根工事を行うことができるでしょう。
ここでは屋根修理におけるカバー工法と葺き替え工事の違いについて紹介していきたいと思います。

カバー工法の概要と手順について

カバー工法とは、劣化している既存の屋根をすべて撤去することなく、既存の屋根の上に新しい屋根を作り上げるという工法です。
二重の屋根になる大規模な撤去作業がない大量の処分作業が不要といった特徴があります。
ここではそんなカバー工法の手順について紹介していきます。

既存の棟板金や貫板などを撤去していく

屋根カバー工法を実際に行う際には、まず既存の屋根の棟板金や貫板を外して撤去していきます。
これらがそのままになっているとその上に新しい屋根を作っていくことができないため、これらを外していくのです。
棟板金は屋根の頂上部分に設置されている部材ですので、雨風によって劣化していることも多くなっています。
この棟板金とその内部の貫板を撤去していき、その上に新しい屋根を設置した上で新しい棟板金や貫板を設置することとなります。

既存の屋根材の上に新しく下地部分を作っていく

既存の屋根材の上に新しく下地を作っていくこととなります。
これは上に作られる屋根部分の下地となります。
新しくルーフィングや野地板を設置して下地を作っていくのです。
ここにしっかりルーフィングを設置することで、新しく作る屋根の防水性能を高めていきます。

下地の上に新しい屋根材を設置していく

ルーフィングを設置して下地ができたら、その上から新しい屋根材を設置していきます。
カバー工法では建物に二重の屋根を作ることになるため、新しい屋根に重い屋根材は使用することができません。
新しい屋根に重い屋根材を使ってしまうと屋根が重くなりすぎてしまうのです。
そのため最近はガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板のような軽量の金属屋根が使われることが多くなっています。

新しい棟板金、貫板を設置していく

新しい屋根材が設置できたら、その屋根材に新しい棟板金と貫板を設置していきます。
昔は木製の貫板に鉄製の棟板金を使うことが多かったのですが、木製の貫板は腐食しやすく、鉄製の棟板金は錆びやすかったため最近は変わってきています。
貫板は腐食しにくい樹脂製のものが使われ、ガルバリウム鋼板の棟板金が使われることが多くなってきています。

カバー工法のメリットとは

カバー工法には葺き替え工事や塗装メンテナンスとは違ったメリットがあります。
そこでここではカバー工法を行うメリットについて紹介していきます。

既存の屋根材を撤去や処分をする必要がなく、費用を抑えられる

葺き替え工事を行う際には既存の屋根材をすべて撤去した上で処分する必要があります。
こうした撤去作業には手間や時間がかかるというだけでなく、騒音やゴミ、ホコリもでやすく近隣住民とのトラブルの原因にもなります。
また、撤去した屋根材は廃材として処分しなければならないため、運搬費用や処理費用が別にかかってくることとなります。
それに対してカバー工法の場合は屋根材を撤去して処分する必要がないため、既存の屋根はそのままで工事をスタートさせることができます。
撤去するのは貫板と棟板金などに限られるため撤去するのにも手間がかからず、工期を短くして費用も抑えることが可能となります。
Re,ルーフでは工期の目安として「カバー工法では一般住宅で4日」「葺き替え工事では一般住宅で10日程」となっています。

防音性や断熱性などの性能が高くなる

カバー工法を行う場合は既存の屋根の上に新しい屋根を作ることとなるため、屋根が2つ出来上がることとなります。
屋根が二重にあることで、雨が降っても屋内まで雨音が響きにくいというメリットがありますし、夏の強い日差しも二重の屋根で防ぐことができます。
また、冬などは室内の暖かい空気が二重の屋根でキープされるため、保温性に優れた屋根となります。

カバー工法を行う際の注意点やデメリット

カバー工法は塗装メンテナンスする場合や葺き替え工事と比較するとメリットも多いのですが、「デメリット」「注意点」もあるのは事実です。
ここではそんな注意点やデメリットについて紹介していきます。

既存の屋根材や下地の劣化が激しい場合は施工ができない

補修工事をする時点で既存の屋根材の劣化が激しい、下地が傷んでいる、ルーフィング(防水シート)まで傷んでいる、雨漏りが発生しているというような状態になっている際にはカバー工法を選ぶことはできません。
この状態まで劣化が起こっている、雨漏りがしているということになると屋根カバー工法を行うことによって屋根の内部に溜まっている湿気、水分が外部に排出されることができずに内部に閉じ込められてしまうのです。
カバー工法を行うと既存の屋根については補修工事をすることはできなくなるので、あまりに屋根材などの劣化がひどい場合は葺き替え工事をする必要があります。

既存の屋根がアスベストを含んでいる場合には大きなリスクとなる

カバー工法は近年多く使用されている主流の補修工事であるものの、既存屋根がアスベスト入りの場合はアスベストをなくしていこうという時代のため、家の資産価値を考えた場合には葺き替えが良いこともあります。
費用を抑えられるといったメリットもありますが、そうしたリスクも一緒に考えておきましょう。

葺き替え工事の概要について

屋根の葺き替え工事というものがどういった工事なのか、どれくらいの費用がかかるのかイメージできないということがあるかもしれません。
屋根の「葺き替え」とは設置されている既存の屋根材をすべて撤去した上で、新しい屋根材を改めて設置していくことを指しています。
傷んでいる屋根材、破損している屋根材、劣化している屋根材や下地材などをすべて撤去し、下地から新しく設置していくこととなります。
野地板やルーフィングといった下地部分が劣化している場合は、それらを交換していくこととなります。
下地を交換するためには既存の屋根材を撤去する必要があるため、葺き替え工事の際に下地部分もまとめて工事されることが多くなっています。

屋根の葺き替え工事を行うと下地部分なども含めてすべて新しいものに交換することとなりますので、補修工事としてはもっとも効果的で屋根の耐用年数が長くなる方法と言えますが、既存の屋根材をすべて撤去して処分する必要があるために工期が長くなりますし、撤去費用や処分もかかってきます。
そのため「時間」「費用」が多くかかるということが前提となります。
葺き替え工事が行われるのは「屋根材が全体的に劣化している」「種類の違う屋根材にすべて交換したい」「下地部分のメンテナンスを本格的に行いたい」といった時だと言えるでしょう。

葺き替え工事の費用の目安について

葺き替え工事の費用についてはさまざまな条件によって変わってくることとなります。
✅建物の大きさ、屋根の広さ、屋根の勾配
✅立地条件、道路の位置や広さ
✅既存の屋根材の種類
✅葺き替える屋根材の種類
✅時期、季節、地域などの要因
です。

これらの条件を踏まえた上で葺き替えにかかる費用の目安を紹介していきます。
既存の屋根材が瓦屋根だった場合
新しい瓦屋根に交換:100~250万円
スレート屋根に変更:70~200万円
金属屋根に変更:80~220万円

既存の屋根材がスレート屋根だった場合
スレート屋根を交換:70~200万円
金属屋根に変更:90~200万円

既存の屋根材がセメント瓦だった場合
新しい瓦に交換:100~250万円
スレート屋根に変更:90~250万円
金属屋根に変更:80~200万円

葺き替え工事を行う際にはまず外壁足場を組み立てる必要があります。
そして勾配によっては屋根足場を組み立てていきます。
葺き替え工事の場合、既存の屋根を撤去する必要があるため、これらの足場は絶対に必要となるのです。
既存の屋根材を撤去する際には撤去費用や処分費用がかかってきますし、新しい屋根材の費用や施工費用も別にかかってくることとなります。
さらに既存の屋根材に「2000年以前に製造されたアスベスト(石綿)」が使用されている場合は屋根材を撤去する際に有害物質が飛び散らないように養生をして工事をする必要があるため、余計に時間と費用がかかることとなります。
また、葺き替え工事を行う際には下地からすべて新しいものに交換することも多いため、それらをすべて含めるとどうしても高額な費用と時間がかかってしまうこととなります。
特に大雨が降っている時には葺き替え工事はできませんので待機時間も含めて工期が長くなります。
逆に日差しが強い猛暑日などは屋根の上での作業は非常に危険なものとなりますので、この場合も作業効率が悪くなることとなります。
これらの理由によって屋根の葺き替え工事は工期が長くなりがちなのです。

まとめ

屋根の大規模な補修工事と言えば「葺き替え工事」「カバー工法」という2種類があります。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、どちらの工法を選ぶかについては修理業者と相談の上、慎重に決めていくと良いでしょう。
株式会社Re,ルーフでは、葺き替え工事、カバー工法の他にも部分的な補修、雨漏り修理に対応しております。
是非、施工実績でもご確認いただければと思います。

▷京都市南区にて台風被害による屋根修理〈屋根カバー工法〉

▷京都市左京区にて雨漏りによる屋根リフォーム〈屋根軽量・断熱〉

▷京都市左京区にて雨漏り修理〈瓦屋根修理〉