屋根修理が必要な瓦屋根の劣化症状をご紹介

屋根修理が必要な瓦屋根の劣化症状をご紹介

2024/05/21

日本では昔から瓦屋根が多く使われてきました。
現在でも神社仏閣や一般の住宅でも多く使われています。
こうした瓦屋根は金属屋根やスレート屋根などと比べると耐用年数は長い屋根材なのですが、永久に劣化しないというわけではありません。
また瓦にも色々な種類があり、それぞれに耐用年数が違っています。
そこでここでは屋根修理が必要となる瓦屋根の劣化症状について紹介していきたいと思います。

それぞれの瓦屋根の種類と劣化するまでの耐用年数の目安とは

 

「瓦」というとそれほど種類がないように思われますが、素材によって多くの種類があり、それぞれに特徴があって耐用年数が違っています。
建物に使われているのがどういった瓦なのかを知ることによって劣化していくまでの目安がわかりますので、しっかりと把握しておきましょう。
ここでは日本で使用されている瓦屋根の種類や耐用年数の目安について紹介していきます。

釉薬瓦(陶器瓦)の概要と耐用年数について

日本の瓦屋根としてもっとも多く使用されており、「瓦」というイメージとなりやすいのが「釉薬瓦(陶器瓦)」です。
釉薬瓦の材料は粘土であり、瓦の形を成形してその上に釉薬といわれるガラス質の薬を塗った上で高温で焼いて完成させていきます。
釉薬瓦の作成過程が皿や茶碗といった陶器の作り方と同じということもあって「陶器瓦」と呼ばれることもあります。
瓦の表面に釉薬を塗って焼くことによって瓦の表面の色艶が良くなり、瓦としての耐久性も上がります。
また、瓦にどういった種類の釉薬を塗るかによって仕上がりの色も変わってきます。
さらに釉薬には「水をはじく」という特徴がありますので、雨水を表面ではじいて瓦本体まで浸入しにくくする効果があります。

この釉薬瓦は一度設置すれば50年以上の耐用年数があるものも多く、瓦自体は長期間にわたってメンテナンスをする必要がないというメリットもあります。
そのため、瓦が劣化してくるというのはあまり見ることがないかもしれません。

素焼き瓦の概要と耐用年数について

釉薬瓦は粘土で瓦の形を作って、その上から釉薬を塗って焼くという方法をとりますが、粘土で瓦の形を作って釉薬を塗らずにそのまま焼いた瓦を「素焼き瓦」といいます。
釉薬を塗らずに素焼きすることで、粘土本来の色合いで仕上がることが多く、使用する土にもよるのですがたいていは「赤色」になる場合が多くなっています。
不自然な色艶はなく、純粋で素朴な色合いに仕上がりますので、それを好む人も多くいます。
仕上がりが赤色になることが多いために「赤瓦」と呼ばれています。
明るい赤色になることが多いので、洋風な建物にも合いやすくなっています。
釉薬を塗らずに焼くことで、比較的軽量で耐久性も高くなりやすく、耐用年数も40~50年ほどとなっています。
こちらの瓦も瓦自体が劣化してくるということはあまりありません。

いぶし瓦の概要と耐用年数について

「いぶし瓦」は一般的な建物よりも神社仏閣などで使われることが多い伝統的な瓦です。
瓦の基本的な形は粘土で作成し、瓦の表面に釉薬を塗ることはなく、窯の中で「いぶす」ことで瓦を完成させていきます。
いぶし方、いぶす方法、いぶす時間などによって仕上がりの色合いが違ってくるのですが、多くの場合は「銀色」「黒色」といった重厚感と高級感がある仕上がりになるのがこの「いぶし瓦」の特徴です。
いぶし方や時間などを変えることで、瓦の仕上がりの色も違ってくるというのもいぶし瓦の特徴となっています。
どういった色合いになるのか、どうしてこのような仕上がりになるのかというのは窯の中でいぶしている間に瓦に付着する「炭素膜」によって決まります。
炭素膜が果たしている役割は色合いを決めるだけでなく、雨水から瓦を守るという効果もあります。
ただ、長期間瓦を設置していることによって炭素膜が剥がれることとなりますので、耐用年数は釉薬瓦などよりも少し短く、30~50年前後となります。

セメント瓦の概要と耐用年数とは

これまでに紹介した瓦は粘土で作った瓦でしたが、セメント瓦は「セメント」「砂」「水」を混ぜて作った瓦です。
作成途中のセメントに色を混ぜて作れば、仕上がりはその混ぜた色の瓦にすることができるのですが、セメント瓦を作成して完成させてから瓦の表面に塗料を塗って色を後からつけるという方法もあります。
釉薬瓦、素焼き瓦、いぶし瓦などは高温で瓦を焼くという工程がありますので、焼いている途中で瓦が「割れてしまう」「縮んでしまう」ということがどうしても起こります。
焼いている途中で割れてしまった瓦などはゴミとして廃棄してしまうために無駄が発生してしまうのですが、セメント瓦は「高温で焼く」という工程がないため、廃棄するものが発生せずに無駄が発生しにくいというメリットもあります。

ただ、セメント瓦にはメリットだけではなく、いくつかのデメリットもあります。
まずセメント瓦の表面に塗っている塗料は10~20年ほどで劣化して薄くなる、剝がれてしまうために定期的にメンテナンスを行い、塗装をし直すということが必要となります。
また、セメント瓦は陶器瓦よりも「重い」「耐久性が低い」といった特徴があるために重量面で建物に負荷をかけるだけでなく、瓦自体の破損も起こりやすいのです。
特に耐震補強の点では屋根の軽量化が進められているということもあってセメント瓦は利用が減少してきています。
セメント瓦を使っている場合は表面の塗料が劣化してくることが瓦の劣化症状として判断しやすいものとなっています。

モニエル瓦(コンクリート瓦)の概要と耐用年数とは

出来上がったセメント瓦の表面に「着色スラリー」という塗料を塗った瓦を「モニエル瓦(コンクリート瓦)」といいます。
「モニエル」というのはこの表面に塗る塗料を「日本モニエル株式会社」が製造していたことが関係しています。
この着色スラリーは防水性に優れているためにモニエル瓦はセメント瓦よりも防水性に優れているという特徴があります。
瓦本体の耐用年数は20~30年ほどなのですが、こちらもセメント瓦と同様に塗料が10年ほどで劣化してくるため、定期的に塗装メンテナンスを行う必要があります。

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屋根修理が必要な瓦屋根の劣化症状とは

京都市北区にて瓦屋根修理

では一般的に屋根修理が必要な瓦屋根の劣化症状とはどういったものがあるでしょうか。
ここではこういった症状が出てきたら屋根修理が必要という例を紹介していきます。

漆喰が劣化することで出る症状について

瓦屋根は耐用年数が長いものが多く、特に釉薬瓦などでは50年前後の耐用年数があるため、頻繁に劣化するということはありません。
そのため瓦屋根の劣化症状は瓦本体よりも周囲のトラブルが関係することが多くなっています。
その代表的なものが「漆喰の劣化」です。
瓦屋根はただ屋根の上に並べているだけでなく、漆喰によって固定されています。
漆喰は昔から日本だけで使われている建材ではなく、世界中で使用されている歴史ある建材です。
外壁材、屋根の瓦の固定材など幅広く使用されてきました。

この漆喰は瓦を固定する重要な役割を果たしている建材なのですが、瓦よりも早く劣化してくるという現状があります。
漆喰は以下のような理由で劣化していきます。
・長期間、屋根の上で雨風にさらされることで劣化する
・屋根の上で太陽光、紫外線を受け続けることで劣化する
・昼と夜、夏と冬などの季節や時間帯の気温差によって劣化する
・長期間使用するということで単純に品質が劣化していく
などの理由が考えられます。

やはり屋根の上で紫外線や雨風にさらされるということによって劣化が進んでいくのです。
こうして漆喰が劣化してくると乾燥して硬くなってくることにより、柔軟性が低下していきます。
乾燥してくることでさらに紫外線や雨風の影響を受けやすくなるためさらに劣化は進んでいくこととなります。
このように漆喰が劣化してくると「瓦を固定する力が弱くなる」こととなります。
瓦をしっかりと固定できなくなることで、瓦がズレる、落下する、ということが起きてきます。
瓦がズレてしまうとその隙間から雨水が内部に侵入して雨漏りの原因となることがあります。

セメント瓦やモニエル瓦を使用していて雨漏りが発生している

セメント瓦やモニエル瓦は釉薬瓦などよりも安価で扱いやすいということがあるのですが、10年前後経つと表面の塗料が劣化していき、防水性が低下していきます。
塗膜が薄くなるとセメント瓦自体が水分を吸収するようになってしまうために劣化は一気に進むこととなります。
こうして瓦が劣化してくると建物内部へと水が侵入しやすくなるため、建物内に雨漏りが発生する場合があります。
セメント瓦やモニエル瓦を設置して10年以上が経っていて、雨漏りが発生しているという場合は瓦が劣化している可能性が高いと言えます。
同様にカビが発生している、シロアリが発生しているという時も瓦屋根が原因である可能性があります。

屋根の下からでも判断できる具体的な劣化症状とは

瓦屋根の劣化症状をはっきりと確認するためには屋根にのぼって確認する必要があります。
しかし素人が屋根に上るのは非常に危険な行為ですので避けなければいけません。
本格的に瓦屋根の状態を確認するには業者に依頼するのが良いでしょう。
ここでは屋根の下からでも判断することができる具体的な劣化症状を紹介していきます。
✅瓦のズレ(ケラバ瓦がずれてる、鬼瓦のズレ)
✅軒先の万十に隙間ができている
✅万十軒瓦が樋より前にでている
✅棟瓦の銅線が切れている
✅面戸漆喰の変色、剥がれ
※これらの症状については屋根の下からでも判断できるため、定期的に屋根を見て点検することが重要だと言えます。

まとめ

瓦屋根は瓦自体の耐用年数が比較的長いということもあって劣化症状が出にくいという特徴があります。
それでもセメント瓦やモニエル瓦は表面の塗料が薄くなるとはっきりと劣化していきますし、瓦を固定している漆喰が劣化してくると瓦がズレたりしてきます。
こうした劣化症状を見逃さず、できるだけ早くメンテナンスしていくことで長く瓦屋根を正常に維持していくことができるでしょう。

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