瓦屋根から雨漏りする原因とは?雨漏りを繰り返さない対策方法について

瓦屋根から雨漏りする原因とは?雨漏りを繰り返さない対策方法について

2024/03/01

昔から日本家屋で多く使われてきた瓦屋根ですが、一般の住宅では近年金属屋根などに葺き替えることが増えてきています。
しかし神社や寺院、古くからある家屋、京都や奈良の住宅などにはまだまだ瓦屋根などの住宅が多くあります。
そんな瓦屋根から雨漏りがするのは何が原因なのでしょうか。
ここでは瓦屋根から雨漏りがする原因、雨漏りを防ぐ対策方法について紹介していきたいと思います。

そもそも瓦屋根の雨漏りの原因とは何が多いのか

京都の瓦屋根の建物の雨漏りの原因で多いのは

瓦屋根のズレ

棟瓦のズレです


ではなぜ瓦屋根がズレるのかというと「漆喰」の劣化や剥がれがその原因です。
瓦屋根は耐久性が高く、耐用年数が長いために屋根材自体のメンテナンスはあまり必要がないのですが、その瓦屋根を設置するためには漆喰が必要となるのです。
その漆喰の耐用年数が瓦屋根よりも短く、劣化していくために瓦屋根がズレてしまうのです。
そのため、瓦屋根の雨漏りを防ぐためには漆喰を正常な状態に維持していくということが何より重要となります。

漆喰について

漆喰は日本はもちろん、世界中で広く使用されている建材です。
屋根瓦を固定する、外壁材として使用するなどさまざまな用途で利用されています。
ここではまず漆喰について紹介していきます。

日本での漆喰の使われ方について

「漆喰」といってもその中にもいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。
基本的な漆喰は「石灰石」「水」を混ぜ、練り合わせてできた「水酸化カルシウム」を原料としています。
この水酸化カルシウムを主原料として「苆」「粘土」「布海苔」などを混ぜ合わせていき、練り込んでいくことで漆喰が出来上がります。

こうしてできた漆喰は日本ではかなり昔から使用されていますが、世界中でも昔から利用されている建築材でもあります。
海外では単純に屋根を固定するために利用するだけでなく、石材の接着剤として、外壁材として、目地の充填剤として幅広く使われています。
日本では瓦屋根を固定するために使う他には、外壁材としても使われており城、神社、寺院などで多く使われています。

漆喰の種類について

漆喰の中にはいくつかの種類があり、それぞれの漆喰に特徴があるため、用途によって使い分けがなされています。
それぞれの漆喰の種類の特徴を押さえ、建物に合った適切なものを選んでいくと良いでしょう。
ここでは種類ごとの概要と特徴について紹介していきます。

・本漆喰
まず普通「漆喰」という場合はこの漆喰を指すのが一般的です。
もっとも昔から作られている漆喰でもあり、塩焼き消石灰、布海苔、苆、粘土などを水で混ぜ合わせて練り込むことでできています。
日本では瓦屋根の固定や外壁材などとしても多く使われています。

・土佐漆喰
土佐漆喰は塩焼き消石灰、発酵させたワラ、水を混ぜ合わせて作成する漆喰です。
土佐漆喰は作成後に塗装すると太陽光、紫外線に当たることで色合いが薄い黄色から茶色へと徐々に変色していきます。
少しずつ段階的に変化していく色合いが特徴的であり、この特徴を気に入って土佐漆喰を使用する人もいます。
また、この土佐漆喰は耐久性が高いという特徴もあるため、屋外だけでなく、室内の天井や床などにも使用されています。

・琉球漆喰
「琉球」という名前の通り沖縄で多く使われている漆喰です。
沖縄の言葉で「ムーチー」「ムチ」と呼ばれることがあります。
これらの言葉は沖縄の方言で「餅」を意味しています。
消石灰とワラと水を混ぜて作るという製法は他の漆喰と同じですが、こちらの漆喰は土佐漆喰よりもワラを多く混ぜるのが特徴的です。
沖縄では瓦屋根を固定するのに多く使用されています。

漆喰はなぜ劣化するのか

京都市北区にて瓦屋根修理

では漆喰はなぜ劣化していくのでしょうか。
ここでは漆喰が劣化していく理由について紹介していきます。

太陽光、紫外線、雨風にさらされることで劣化する

屋根瓦を固定するために漆喰を使っている場合、当然屋根の上で漆喰は太陽光や雨風にさらされ続けることとなります。
長期間それらにさらされることによってダメージを受け続けて劣化していくことがあります。

時間帯や季節の気温差によって劣化する

漆喰は昼の暑い時間帯や夏の気温が高い時には膨張します。
そして夜になって気温が下がったり、冬の寒い時期には収縮することとなります。
こうして膨張と収縮を繰り返すことによって固定力が弱まっていくことがあるのです。
隙間ができたりすることもあり、ここから劣化が進んでいくこととなります。

経年劣化していく

漆喰は長期間使用することによって水分が抜けて乾燥していきます。
乾燥することによって柔軟性がなくなり、硬くなっていきます。
硬くなった漆喰は紫外線などのダメージを受けやすくなるため、劣化が早くなります。
こうして漆喰は劣化していくのです。

漆喰が劣化した時にでるサイン、症状とは

漆喰が劣化することによってさまざまな症状が出てきます。
こうしたサインが出たらできるだけ早くメンテナンスを行う必要があると言えるでしょう。
ここでは漆喰の劣化サイン、劣化症状について紹介していきます。

漆喰が浮いている、剥がれている、葺き土が流れ出ている

漆喰が劣化してくると漆喰が屋根から浮いてきたり、剥がれてきたりしてきます。
こうして漆喰が浮いたり、剥がれてしまうことによってその部分に隙間ができてしまい、そこから雨水が侵入することによって内部の葺き土が流れ出ていってしまうということがあります。
特に瓦屋根を設置している屋根では棟部分が屋根全体を支える土台となっています。
この棟から葺き土が外に流れ出てしまうと棟が不安定になる、変形してしまう、さらにそこから雨水が侵入しやすくなるという悪循環につながります。
※屋根からパラパラと土が落ちていたりする場合は屋根から土から流出している可能性があります。
棟と瓦の間を支える漆喰が劣化していることで発生した可能性があると言えるでしょう。

瓦がズレている、移動している、落下している

瓦屋根は重量があるためズレたりすることは少ないのですが、それでも大雨や地震、台風といった自然災害によって瓦屋根がズレてしまったりして隙間ができる場合があります。
瓦屋根がズレて隙間ができることによってそこから雨水が内部に侵入してしまいます。
雨水が内部に侵入することで漆喰の劣化が早まっていきます。
漆喰に大量の水分が混じってしまい、劣化してしまうと固定力、接着力が弱まってしまい、さらに瓦が大きくズレる、移動するということにつながります。
瓦のズレが大きくなると瓦が落下してしまうということもあります。
瓦があった部分から瓦がなくなると雨水が直接土台部分、土部分に当たることとなり、土や漆喰などをまとめて流してしまうという危険性があります。

室内に雨漏りが発生している

すでに室内に雨漏りが発生している場合は設置されている漆喰がかなり劣化している可能性があります。
建物内に雨漏りがしているという場合は瓦屋根などの屋根材の部分だけでなく、その下に設置されている「ルーフィング(防水紙)」も劣化しているという可能性があります。
通常は、雨が降った際などに屋根材を通過してしまった雨水はこのルーフィングによって防がれています。
つまりルーフィングが正常に稼働していれば屋内への雨漏りは防げるのです。
しかし建物内に雨漏りがしているということはこのルーフィングも劣化している、破損しているという可能性があります。
こうなると一部分だけの補修メンテナンスではなく、屋根材、漆喰、下地部分の野地板やルーフィングなどをまとめて交換しなければならないような大規模な補修工事が必要となります。
※屋内に雨漏りが発生している場合は漆喰はもちろん、下地材やルーフィングなど他の部材についても劣化しているということがあるのでより注意が必要だと言えます。

瓦がズレた時の対処法について

瓦がズレたままで放置していると、そこにできた隙間から水が浸入しやすくなってしまいます。
隙間から直接水が内部に浸入してくることで、ルーフィングや野地板にかかる負担が大きなものとなってしまい、それらの劣化が早くなるだけでなく、雨漏りなども起きやすくなります。
そこでここでは瓦がズレてしまった場合の対処法について紹介していきます。

✅瓦を元にあった位置に戻して固定する

強風や地震などが原因で単純に瓦がズレてしまっただけの場合は、瓦を元の位置に戻して設置し直せば修理できることとなります。
ただ、瓦を元の位置に戻したとしても、その下に設置されているルーフィングや野地板が劣化している場合は雨漏りが発生しやすくなったり、またすぐに瓦がズレてしまうことにもなります。
瓦がズレている時にはそのまま元の位置に戻すだけではなく、ルーフィングや野地板の確認、メンテナンスをした上で瓦を戻すのが効果的です。

✅瓦を交換する

台風、大雨、強風などの際に瓦が1枚だけ割れてしまったという場合は、その破損した1枚を新しい瓦に交換すると良いでしょう。
業者によっては1枚だけの交換は受け付けない、ということもありますので部分的な交換などを行ってくれる業者を探す必要があります。
また、この場合も新しい瓦を設置する前にルーフィングや野地板の点検を行っておきましょう。
ルーフィングや野地板が劣化しているという場合は、それらの下地部分の補修を行う必要があります。
限定された範囲だけの部分補修となるか、全面的な補修工事になるかは劣化の程度によります。

〈実際に行った瓦屋根の施工事例〉

▷京都市北区にて瓦屋根修理〈漆喰補修〉

▷京都市下京区にて瓦屋根片面葺き替え

▷京都市北区衣笠にて瓦屋根修理〈棟瓦漆喰補修・屋根葺き替え〉

▷京都市右京区にて屋根軽量・断熱リフォーム〈葺き替え〉

まとめ

瓦屋根で雨漏りがするという場合は「漆喰が劣化している」「瓦がズレている」ということが原因であることが多くなっています。
Re,ルーフは雨漏り修理のプロとして屋根の正確な診断と適切な修理を行っています。
代表の「竹村」は「一級瓦葺き技能士」の資格を保有しており、瓦屋根修理の実績も多数あります。
雨漏り修理を行う際にはぜひ「Re,ルーフ」をご利用ください。