お住いの屋根材が何だか知っていますか?それぞれの屋根の特徴と注意点について

お住いの屋根材が何だか知っていますか?それぞれの屋根の特徴と注意点について

2024/09/19

屋根材にも色々な種類があるのですが、自分が住んでいる家の屋根材がどんな種類のものなのか、どういった特徴や注意点があるのかについてはあまり知らないという人も多くいます。
それぞれの屋根材に長所と短所があるため、それらの特徴を踏まえた上で選んでいき、定期的にメンテナンスをしていくことが重要となってきます。
そこでここではそれぞれの屋根材の特徴や使用する際の注意点などについて紹介していきたいと思います。

瓦屋根の特徴や注意点について

瓦屋根は日本で使用されている屋根材の中でももっとも古くから使われてきた屋根材です。
さまざまな素材の種類がある屋根材の中でも一番長い耐用年数があるとされており、瓦によっては50~100年の耐用年数があるという特徴があります。

瓦屋根の種類とは

瓦屋根といってもその中にもいくつかの種類があり、少しずつ特徴も違っています。
まずは簡単にその瓦の種類を紹介していきます。

・粘土瓦について
粘土瓦は瓦屋根の中でももっとも歴史のある瓦屋根です。
粘土という名前通り、粘土を瓦の形状にして焼いて完成させる瓦となります。
しっかりと焼いているということもあって耐久性が高く、かなり強い衝撃を受けたりしない限りは破損もしにくいので頻繁にメンテナンスをする必要もありません。
耐用年数ももっとも長く、50年以上は劣化することなく使用できます。
粘土瓦の中にも素焼きした素焼き瓦や釉薬を塗った釉薬瓦などがあります。
基本的には長い耐用年数があるため、この瓦自体が劣化するということはあまりないのですが、この瓦を固定するために使用される漆喰が先に劣化することがあります。
漆喰は15~20年ほどで劣化することが多いので、この時期に漆喰のメンテナンスをするのが屋根を長持ちさせる秘訣だと言えます。
この漆喰のメンテナンスを行う際に粘土瓦に問題がなければそのまま再利用することも可能です。

▷瓦屋根の種類とそれぞれのメンテナンス方法について解説

・セメント瓦について
こちらもセメント瓦という 名前の通りにセメントと砂を混ぜて作っている瓦です。
粘土瓦よりも早く、安く大量に作ることができるということもあって多く利用されていました。
こちらの特徴としてはやはり「安くて扱いやすい」ということがあります。
ただし、素材の材質がセメントということもあってセメント自体は吸水性が高く、雨が降るとその雨水を吸収してしまうためにすぐに劣化してしまいます。
そのため、セメント瓦の表面に防水性を高める塗装を行うこととなります。
この瓦の表面を覆っている塗膜が正常に機能しているうちは問題なく使用できますが、塗膜が劣化してくる、薄くなる、剥がれてしまうという状態になると瓦本体が水を吸収するようになるために急激に劣化していくこととなりますので早急にメンテナンスが必要となります。
セメント瓦の塗膜については一般的には10年ほどが目安となります。
瓦の塗膜メンテナンスと瓦を固定している周囲の漆喰のメンテナンスがしっかりとできていればセメント瓦は30年以上の耐用年数が期待できます。

▷屋根修理が必要な瓦屋根の劣化症状をご紹介

・コンクリート瓦について
こちらはコンクリートと砂を混ぜて作っている瓦です。
セメント瓦と似ている性質があり、コンクリート瓦本体に雨水がかかり続けると瓦が水を吸収して劣化してしまいます。
そのため、瓦の表面に塗装をすることによって瓦に水が染み込むことを防いでいます。
塗膜は10年ほどでメンテナンスが必要となってきますので、この時期にメンテナンスを行いましょう。
セメント瓦と同様に塗膜と漆喰をしっかりとメンテナンスしていれば30年ほどの耐用年数が期待できます。

瓦屋根の注意点やデメリットとは

耐用年数が長いという圧倒的なメリットがある瓦屋根ですが、使用する際にはいくつかの注意点やデメリットもあります。
使用する際にはそれらの注意点やデメリットを押さえておくことが必要です。

・重い
瓦屋根の注意点の中でもダントツに注意しなければならない点は「重い」ということです。
後で紹介するスレート屋根や金属屋根と比べるとはるかに重量があります。
近年耐震性を高めるための耐震工事が行われることが多くなってきていますが、耐震性を高めるためには屋根が軽いということが重要となるため、瓦屋根のように重いということはかなり不利になってきます。
屋根が重いと地震があった際に揺れ幅が大きくなってしまい、柱や壁に負担がかかることで崩壊してしまう危険性が高くなるのです。
そのため、葺き替え工事を行う際に瓦屋根から金属屋根などに交換するということも増えています。

・扱える業者が少ない
瓦屋根は他の屋根材よりも「重い」ということもあって扱いが難しい屋根材でもあります。
また設置していく際にも高い技術が必要となるために屋根業者の中でもすべての業者で扱っているわけではありません。
依頼しようとしてが瓦屋根を扱いた業者っていないということもあるため注意が必要です。

・ズレる、割れることがある
瓦は金属屋根のように釘やビスで下地に固定されているわけではありません。
そのため、地震や台風などによって瓦がズレてしまうということがあります。
瓦は重量があるため、大きくズレたりすると落下することがあり、人や物に当たると非常に危険という特徴があります。
また、耐久性は高いのですが、大粒の雹が降ったり、飛来物があったりした際には瓦が割れてしまうということもあります。
この場合も割れた瓦が落下したりする危険性があります。
もちろん瓦がズレたり割れたりしてしまうと雨漏りの原因にもなります。

スレート屋根の特徴や注意点について

スレート屋根は現在日本で非常に多く使用されている屋根材です。
大きく分けると「天然スレート」と「化粧スレート」という二種類があります。
天然スレートはその名前の通りに天然石を利用するものですが、費用が非常に高額で施工も難しいということもあって一般的に使用されることはほとんどありません。
ここでは普通の建物で多く使われている化粧スレートについて紹介していきます。

化粧スレートとはどういったものか

化粧スレートとはセメント成分に繊維質の原料を混ぜていき、それを薄い板状に加工した上で表面に着色塗装をしたものです。
この塗膜によって防水性、遮熱性などを高めています。
塗膜がない状態のスレート本体は雨水が染み込んでしまう性質があるため、塗膜をしっかりとメンテナンスしていく必要があります。
表面の塗膜については10年前後で塗りなおす必要があります。
塗膜のメンテナンスさえしっかりとしていれば耐用年数は20~30年ほどが期待できます。

化粧スレートは幅広く使われているのですが、それはスレート屋根に色々とメリットがあることが関係しています。
かんたんにメリットを紹介していくと、
・軽くて扱いやすい
スレート屋根は瓦屋根などと比べるとかなり軽い屋根材です。
また、形状も板状のもので扱いやすい、設置しやすいというメリットがあります。
屋根の形状に合わせて加工することも可能です。

・安い
瓦屋根は単価自体が高いということに加えて、施工費がかかるために合計費用が高くなるという傾向があります。
そんな瓦屋根と比べるとスレート屋根は安く施工できます。
これは屋根材自体が安いことに加えて、扱いやすいことで工賃も抑えられるためです。

化粧スレートの注意点やデメリットとは

化粧スレートは安い、軽い、扱いやすいというメリットがある屋根材ですが、いくつかのデメリット、注意点もあります。

・割れやすい
化粧スレートは薄い板状の屋根材ですので「割れやすい」という大きな弱点があります。
特に飛来物が当たった時などは割れてしまう、欠けてしまうということがあるため注意が必要です。
特に水分を含んで膨張してくるとひび割れが起きやすい状態になります。

・コケやカビが発生しやすい
スレート屋根は塗膜が薄くなるとスレート本体に雨水が染み込みやすくなります。
スレートが水分を含むとカビやコケが発生しやすくなるという特徴があるのです。
カビやコケが発生するとそれだけ劣化も進みやすいので注意が必要です。

・アスベストを含む素材がある
人体に有害な物質として現在は使用が禁止されているアスベストですが、2004年よりも前に製造されたスレート屋根にはアスベストが含まれているものがあります。
アスベストが含まれているスレート屋根は撤去する際には専門の資格を持った人が行う必要があるために手間と費用がかかりますのでそれもデメリットと言えます。

金属屋根の特徴や注意点について

日本で近年急激に増えている屋根材が金属屋根です。
耐震工事の際に他の屋根材から金属屋根に葺き替え工事を行う場合も多くあります。
ここではそんな金属屋根の特徴、メリット、デメリットについて紹介していきます。

金属屋根のメリットとは

ガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板を中心とした金属屋根は「軽い」「扱いやすい」という特徴があります。
特に重量については瓦屋根の1/10ほどしかなく、屋根の軽量化に最適とされています。

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金属屋根の注意点やデメリットとは

金属屋根はメリットが多い屋根材ですが、それでもデメリットはあります。
そういった点を押さえておくと効率的に金属屋根を利用できるでしょう。

・衝撃には弱い
金属屋根はある程度耐久性は高い屋根材ではありますが、あくまでも薄い金属板ですので強い衝撃を受けると凹んでしまったりすることがあります。
飛来物などには注意が必要です。

・熱膨張する場合がある
金属屋根はその性質から熱膨張が起こる可能性があります。
太陽光を受け続けることによって高温になることで膨張し、温度が低くなると収縮します。
このように膨張と収縮を繰り返すことによって釘やビスが緩んでしまうということがあります。
また、そうしてできた隙間から雨水が侵入することがあるので注意しましょう。

まとめ

日本の屋根材にはさまざまな素材のもの、種類があってそれぞれに特徴や注意点があります。
どれが正しいというものではないので、それぞれの屋根材の特徴を把握した上で、建物に合った屋根材を選んでいくことが重要だと言えるでしょう。

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