塗装だけでは雨漏りは治せない?屋根修理が必要な理由について

塗装だけでは雨漏りは治せない?屋根修理が必要な理由について

2024/10/18

雨漏りが発生すると補修を行う必要があります。
補修方法にもさまざまな種類があり、葺き替え工事のような大規模な工事から部分的に補修する、塗装を行うといった方法があります。
ただ、その中でも塗装については新しく塗装をし直すことで屋根の見栄えが良くなるため効果が高そうに見えますが、それだけでは雨漏りを補修できるわけではありません。
そこでここでは塗装と雨漏りの関係、屋根修理が必要となる理由について紹介していきたいと思います。

屋根の補修方法にはどういったものがあるか

雨漏りが発生している時には補修工事を行うこととなります。
その方法にも色々な種類がありますので、それらの方法の特徴について紹介していきます。

葺き替え工事

一番大掛かりな工事になるのが葺き替え工事です。
既存の屋根材をすべて撤去したうえでルーフィングや野地板など下地もすべて新しいものに取り換えるというのが葺き替えです。
すべての部品が新しくなるために補修効果も非常に高いものとなるのですが、撤去費用、処分費用などの費用がかかってくるだけでなく、新品の部材、足場の組み立てや解体費用などもかかるために費用総額が大きいものとなってしまいます。
また、工期も長くなるため、そこにも注意が必要です。

カバー工法

近年葺き替えのほかに多く行われているのがカバー工法です。
こちらは既存の屋根材を撤去することなく、その既存の屋根材の上に新しい屋根を作ってしまうという工法です。
既存の屋根の上に下地を設置していき、その上に新しい屋根材を設置して屋根を作ります。
屋根が二重になることで高い遮熱性や防水性を発揮することができます。
葺き替えのように既存の屋根材を撤去する必要がないため撤去費用や処分費用が必要ない、工期を短くすることができるといったメリットがあります。
ただ、屋根が二重になって重くなってしまうというデメリットがあるため、もともと重量がある瓦屋根では行うことはできません。
スレート屋根や金属屋根で多く行われている方法となっています。

▷屋根修理におけるカバー工法と葺き替え工事の違い

屋根塗装、塗装メンテナンス

屋根材の表面に塗装がなされている場合、塗装が劣化してくると雨漏りの発生にもつながってしまうこととなります。
塗装を行う際にはまず高圧洗浄などをかけて汚れをしっかりと落とし、下塗り、中塗り、上塗りと3回塗装を行います。
これを三度塗りといいます。
さまざまな効果がある塗装ですが、塗装だけをしたから雨漏りの補修ができるというわけではありません。

塗装の種類とは

塗装というと職人がペンキを塗っていくように思われることもあるのですが、実際には塗装の中にも色々と種類があります。
ここではそれらの塗装の種類について紹介していきます。

焼付塗装

焼付塗装は塗装皮膜の樹脂部分に高温の熱を与えることで素材に塗料を焼き付けていって皮膜を形成するという塗装方法です。
普通の塗料は元々が液体となっており、加熱するとドロドロに溶けてしまうのですが焼付塗装を行う場合は加熱すると硬化するという焼付塗装専用の塗料が使用されます。
焼付塗装を行う際には100℃くらいのものから200℃以上の温度が必要となる場合があり、使用する製品によって必要な温度が違っています。
焼付塗装を行うことで耐久性が高まり、熱が冷めればすぐに製品として利用することができるというメリットもあります。

電着塗装

電着塗装はこの塗装専用の塗料が入っている容器に塗装したい製品と電極を入れて、片方をプラス、逆側をマイナスの電気を流すことによって塗膜成分を製品の表面に付着させていくという塗装方法です。
電着塗装を行うことができるのは通電性があるものに限られていますが、均一に塗装することができるだけでなく、手作業では塗装しにくい部分にも塗装できるために効率的に塗装ができる塗装の仕方となっています。
一般的には自動車の車体部分の下塗り前に行われることが多く、防錆に強い効果を発揮します。

静電塗装

こちらは電着塗装の応用のような塗装方法です。
製品にプラスの電極、塗料噴射装置にマイナス電極を流して塗料ミストを吹き付けていくという塗装方法です。
細かいミストを静電気で包み込むように塗装をする方法ですので、気泡ができることなく仕上がりが美しいものとなります。
また、飛び散ってしまうような無駄な塗料も発生しないために効率の良い塗装となります。

紫外線硬化塗装

こちらは紫外線を照射することで塗料がラジカル重合反応を起こして硬化するという性質を利用して塗装する方法です。
紫外線を照射するのは数秒ということもあって他の塗装方法よりも塗膜が硬化するまでの時間が圧倒的に短いというメリットがあります。
また、塗装の際に有害物質が発生しないために環境面からも優れた方法として注目を集めています。

塗料の種類について

建物で使用することで耐久性を高める、防水性を高める、錆に強くするといった効果が期待できる塗装ですが、塗料については大きく分けて2つの種類があります。
それぞれの塗料の特徴を知っておくことでより効果的な塗装を行うことが可能となります。

溶剤塗装

こちらは樹脂、顔料、添加材などを有機溶剤に溶解して塗装しやすくした状態の塗料です。
有機溶剤は溶解できるものが多くなっており、蒸発速度が速いだけでなく揮発性にも優れているために乾燥しやすいということもあって幅広く屋根や外壁の塗装で使用されています。
ただ、有機溶剤は環境汚染の危険性があるために使用する際には安全対策が必要となります。

・メラミン塗装
こちらは「合成樹脂焼付塗装」とも呼ばれる塗装です。
塗料製品としてもそれほど高くなく、コストパフォーマンスが良い種類となっています。
耐久性や耐水性を向上させる効果も期待でき、ツヤの加減が違う種類が多く出ているため調整しやすいというメリットもあります。

・アクリル塗装
アクリル塗料はアクリル樹脂を主成分とする塗料で、塗装すると発色が良く、美しく鮮やかな仕上がりになるという塗料です。
アクリル塗料はカラーバリエーションも豊富で、値段も安いということで幅広く使用されている塗料と言えます。
アクリル塗料の多くは1液型であり、すぐに使用することができて重ね塗りの必要もないというメリットがあります。

・フッ素塗装
フッ素塗装は建物の外壁や道路の建造物などで多く使用されている塗装方法です。
防汚性が高く、紫外線にも強いという特徴があり、使用される場所がある程度限定的なものとなっています。
他の塗料と比べて少し値段が高めというのも特徴です。

・エポキシ樹脂塗装
エポキシ樹脂塗料は防カビ性、防食性、接着性などに非常に優れている塗料です。
外壁や屋根の中でも錆びやすい部分で多く使用されます。
ただ、エポキシ樹脂塗装をする場合は紫外線に弱いという特徴があるため、その上から紫外線に強いトップコートを塗装して補強する必要性があります。

・シリコン樹脂塗装
シリコン樹脂塗装は弾性が強いシリコン樹脂でできている塗料を使用します。
弾性が強いため伸縮性にも優れており、ひび割れしやすい壁などで多く使われます。
他の塗料と比べても耐久性や弾力性が強い塗料ですが、熱がこもりやすいという特徴もあるため膨れ上がってしまい、見た目が悪くなるという場合もあります。

粉体塗装

粉体塗装は大きく「固形に塗料を使用して対象物に吹き付けておこなう方法(吹付け塗装)」と「粉のプール内に高温にした対象物を浸漬して塗装する方法(浸漬塗装)」という2種類があります。
浸漬塗装は静電気を使用せずにそのまま塗料を乗せていくため高膜厚に仕上げていくことが可能となっています。

塗装の本来の役割とはどういったものか、雨漏りの補修はできるのか

屋根材や板金、外壁などでは長期間にわたってその強度を維持する必要があります。
そのためにそれらの表面部分は外部からの影響や刺激から保護されなければいけません。
また、外観を良くする、美観を整えるためにも表面部分の塗装は大きな役割を果たしています。
ただ、それらの役割には雨漏りを直接的に補修するというものはありません。
ここでは塗装の果たしている本来の役割について紹介していきます。

美観を整えるため

塗料にはさまざまな種類、カラーバリエーションの塗料があります。
これらの塗料を屋根材の表面に塗装することで見た目を良くする、外観を整えるという効果が期待できます。
最近販売されている高性能な塗料の中には太陽光の反射などまで計算された製品もありますので建物の屋根に合った塗料を選んでいくことで美観を向上させることができるでしょう。

屋根材や外壁の保護のため

塗料を塗ることによって屋根材を保護することができるという役割があります。
これが塗装のもっとも重要な役割と考えられることも多くあります。
屋根や外壁は常に雨風や紫外線にさらされる位置にあるためにダメージを受けやすい部位となっています。
そうした屋根材や外壁を保護するというのが塗装の役割となっているのです。
家具などでもニスなどの塗料を塗っていることで耐久性が向上しているのですが、建物の外にある屋根や外壁ではその効果がさらに高いと言えるでしょう。

さまざまな付加機能のため

塗装には耐久性を高めるだけではなく、他にもさまざまな機能を持ったものがあります。
塗料に「防錆」「防カビ」「防汚」「耐熱性」「撥水性」などの機能を持たせた製品ではそれらの塗料を塗装することによって屋根や外壁にさまざまな機能を持たせることができるのです。
こうした機能は屋根や外壁を正常な状態に維持するのに大いに役立つこととなります。

まとめ

塗料には屋根材や外壁を保護するための機能があり、他にも防水性や耐熱性を高める効果も期待できます。
しかし、すでに発生している雨漏りについては塗装をしたから補修できるというものではありません。
あくまでも塗装は「予防」的な意味合いが強く、雨漏りの補修をするためには本格的な補修メンテナンスを行う必要があるのです。

▷お住いの屋根材が何だか知っていますか?それぞれの屋根の特徴と注意点について

▷屋根修理が必要な瓦屋根の劣化症状をご紹介

▷屋根修理は訪問販売業者に要注意!現地調査・お見積もりする際の注意点