古い家の雨漏り修理は可能?対処法と修理費用の目安について
2024/08/05
親から受け継いだ古い家に住んでいるという人も多くいますし、「古民家」の魅力にひかれて古い家に住んでいるという人も多くいます。
味のある魅力が人気の古い家ですが、雨漏りが発生して悩んでいるという人もいるでしょう。
ではこうした古い家の雨漏り補修は行うことができるのでしょうか。
また、どうやって補修を行い、費用はどれくらいかかるのでしょうか。
ここでは古い家の雨漏りの修理、補修工事について紹介していきたいと思います。
古い家でどうして雨漏りが発生してしまうのか
古い家には古い家特有の魅力があるのですが、やはりあちこちの建材が劣化してきており、雨漏りの危険性は高くなっています。
ここでは古い家で雨漏りが起きる具体的な理由について紹介していきます。
棟瓦や葺き土の劣化
古い家の屋根は棟部分が熨斗瓦を積んだ工法が使われていることが多く、葺き土によって棟部分を形成しています。
この部分が経年劣化してくると葺き土が流出してしまい、瓦の固定力がどんどん弱くなっていきます。
瓦の固定力が弱まることによって棟の形状が崩れてしまい、その隙間から雨水が侵入してしまうということもありますし、外部に適切に雨水を排出できなくなるということがあります。
棟部分は屋根のもっとも高い位置にある部分ですので、この部分が崩れてしまうと雨漏りのリスクが非常に高くなると言えるでしょう。
破風が経年劣化している
破風とは屋根の端部分を保護するために設置されている板状の建材です。
この破風に設置されている破風板が経年劣化していくことによって保護する力が弱まり、雨風を防ぐことができなくなっていきます。
特に古い家の破風板は木材でできていることが多く、定期的に塗装メンテナンスや補修メンテナンスをしていないと経年劣化していることが多くなっています。
瓦屋根が割れている、破損している、ズレている
古い家では屋根材として瓦が使われていることが多くなっています。
瓦屋根は耐久性が高く、耐用年数も長い屋根材ですので、頻繁に交換をする必要はありません。
しかし瓦屋根を固定している漆喰が劣化したりすることで瓦の固定力が弱まり、瓦がズレてしまうということがあります。
また、スレート屋根が使用されている場合は割れている、破損しているということも多く、その隙間から雨水が侵入してしまうということがあります。
台風や地震などの大規模な自然災害があった際にはこうした破損などが起こりやすくなっています。
屋根材が割れていないか、ズレていないかといったことについては確認が必要だと言えます。
ルーフィングの経年劣化
屋根に降った雨水はほとんどは屋根材によって防がれることとなります。
しかしどうしても屋根材を通過してしまう雨水は出てきます。
そうした雨水を防いでいるのがルーフィングと呼ばれる下地です。
これは防水シートとも呼ばれる部分であり、屋内に水が入らないための最終防衛線となっていきます。
このルーフィングが正常に機能していれば屋内に水が入ることはないのですが、やはり古い家のルーフィングは性能が低いものも多く、劣化していることも多いために機能が低下している場合がほとんどなのです。
雨樋が破損している、詰まっている、劣化している
雨樋は屋根に降った雨水を適切に外部に排出するために重要な役割を果たしている部位です。
横向きに水を流していく軒樋、水を集める集水器、縦向きに水を流していく竪樋といった部位がありますが、特に横向きに水を流していく軒樋は葉っぱやゴミなどが詰まりやすくなっています。
ここに葉っぱなどが詰まってしまうことによって水が正常に流れていかず、溢れたり屋根に逆流することとなって雨漏りの原因となってしまう場合があるのです。
もちろん経年劣化によってボロボロと崩れてしまっている雨樋もありますし、飛来物などが当たることで破損するという場合もあります。
▷雨樋に起こる不具合とその原因は?雨漏りのリスクについて解説
古い家で起きている雨漏りを放置するとどうなるのか
では古い家で雨漏りが発生しているのを放置しているとどうなってしまうのでしょうか。
ここでは雨漏りを放置した場合に考えられる症状について紹介していきます。
カビ、シロアリが発生していく
古い家は木材が建材として多く使われています。
雨漏りが発生するとそうした木材が水分を含んで湿った状態になります。
湿った木材はカビやシロアリが発生しやすい環境となります。
シロアリが発生していくと木材をどんどん食べ始めていくため、家の構造強度が急激に低下してしまうこととなります。
特に柱や梁といった重要な部位がシロアリに食べられていくと家の耐久性が低下して倒壊しやすくなります。
さらに、カビが発生するとカビをエサにするダニが大量発生する可能性があります。
カビが発生している状態だとシックハウス症候群になる可能性もありますし、ダニによる健康被害もあります。
喘息やアレルギーを持っている人にとっては影響がより大きいと言えます。
カビやシロアリが発生してしまうというのは非常に危険な状態だと言えるでしょう。
染みができる、土壁が流出する
雨漏りを放置していると天井や壁に雨染みができてきます。
一度雨染みができてしまうと拭き取り掃除などをしても消えることがないため、美観が悪くなるだけでなく、耐久性の低下にもつながります。
また、土壁の場合は土が流れ出したりしてしまう場合もあります。
この場合は土壁の塗り直しが必要となってくるため、補修費用も高額になってしまいます。
木材が腐る、金属は錆びる、家の寿命が短くなる
木材は水分を多く含んだ状態で乾燥しないままになると腐食していきます。
古い家の場合は木材が多く使われていることが多いため、腐食が進むと家の耐久性はどんどん低下することとなります。
また、木材を固定するのに釘が使われていることも多いのですが、こうした釘が錆びていく、腐食していくのも同様に家の寿命を縮めることにつながっていきます。
雨漏りの調査方法とその費用の概算について
雨漏りを解消するためには雨漏りが発生している場所や原因の特定が不可欠となります。
ただ、雨漏りの発生している場所や原因の特定は素人には難しいものとなります。
専門の業者が専用の道具を使って行うこととなるのですが、建物の構造や築年数などによって向いている方法、向いていない方法があるため、その建物に適した方法で調査する必要があります。
ここではそんな雨漏りの調査方法について紹介していきます。
目視確認
費用目安:無料
こちらは雨漏り補修業者が実際に雨漏りしている建物を目視して確認するという方法です。
必要に応じて写真を撮影したりしていき、実際に見て確認していきます。
散水調査
費用目安:無料~30万円
これは水道などにホースをつないで、実際に水が侵入してきている場所に散水することで雨漏りを再現するという調査方法です。
実際に水を流すことで、どこから水が侵入しているのかということを特定することができます。
赤外線サーモグラフィ調査
費用目安:無料~20万円
赤外線カメラ、センサーを使って建物の内外の熱画像を撮影していきます。
その画像によって雨水がどこから侵入しているのか、どの程度侵入しているのかということを特定することができるようになっています。
発光液調査
費用目安:15~20万円
雨水がどこから侵入しているかを特定するために蛍光液の色を色々と使い分けていきます。
蛍光液の色を確認することによって雨水の侵入口を見分けることができます。
ドローン撮影調査
費用目安:無料~20万円
雨漏りが発生している場所が屋根の上の方だったりする場合はなかなか目視できないということがあります。
そういった際にドローンを使って写真撮影をして調査するという方法です。
屋根に上る必要もなくなり、人が直接見にくいような場所も撮影できるため安全に写真撮影を行うことができます。
古い家の雨漏り補修を業者に依頼する際の費用の相場について
古い家の雨漏り補修を業者に依頼する際には、その建物の立地や大きさ、どういった屋根材を使っているかなどによって費用は大きく違ってきます。
ここでは屋根材によっての費用の目安をどういった補修をするのかによって紹介していきます。
瓦屋根の場合
古い家の場合は瓦屋根が使用されていることが多くあります。
瓦屋根の補修は扱っている業者が限られるだけでなく、高い費用がかかることがあります。
部分補修としては瓦を一枚から交換することとなり、すべて屋根材を変える場合には葺き替え工事を行うこととなります。
ただ、屋根が重いということがありますのでカバー工法を行うことはできません。
部分補修 :3~50万円
漆喰詰め替え:20~50万円
棟瓦葺き直し:30~50万円
葺き替え工事:120万円~
スレート屋根の場合
スレート屋根の場合は割れている、破損している、塗装が薄くなっているということが多くあります。
ただ、古い家の古いスレート屋根の場合は塗装の塗り直しをしたとしても十分に機能が回復しないことが多くあります。
しっかりと雨漏りを補修するためにはカバー工法か葺き替え工事を行うのが一般的です。
部分補修 :3~40万円
カバー工法 :50万円~
葺き替え工事:100万円~
▷京都市でも多いスレート屋根の劣化症状と屋根修理方法について
金属屋根の場合
近年人気となっている金属屋根ですが多くはガルバリウム鋼板、エスジーエル鋼板のものとなっています。
ただ、古い家でそういった金属屋根が使われていることはあまりなく、トタン屋根が使われていることが一部ある程度となっています。
トタン屋根の場合は補修をしても機能回復はあまり見込めないため、基本的にはカバー工法か葺き替え工事を行うこととなります。
カバー工法 :50万円~
葺き替え工事:100万円~
▷「立平葺き」と「スーパーガルテクト」それぞれのメリット・デメリットを比較
まとめ
古い家は独特の魅力があることで根強い人気を誇っています。
しかしやはり古い家だけに屋根材や外壁などから雨漏りが発生することも多くなっています。
特に屋根から雨漏りすることが多く、雨漏りを補修する際には雨漏りの原因と場所をしっかりと特定した上で補修を行っていくようにしましょう。