雨樋に起こる不具合とその原因は?雨漏りのリスクについて解説

雨樋に起こる不具合とその原因は?雨漏りのリスクについて解説

2024/03/27

雨樋というと屋根の軒先部分に設置されている筒状のものがイメージされるかもしれません。
雨樋は屋根に降った雨を適切に外部に排出するための重要な装置ですが、ここでトラブルが起きると雨漏りにもつながる部位でもあります。
そこでここでは雨樋に起きやすい不具合と雨漏りとの関係性について紹介していきたいと思います。

雨樋を構成する部位について

雨樋という呼び方が一般的にはされていますが、実際には雨樋は大きく分けて3つの部位から成り立っています。
ここではまずそれぞれの部位の名称と役割について紹介していきます。

軒樋について

屋根のもっとも低い位置、軒先部分に地面と平行になるように設置されているのが軒樋」と呼ばれる部分です。
雨は建物の屋根に多く降るのですが、その雨はそのまま下方向に流れていきます。
雨樋がなければ流れた水は外壁にかかったり、建物の内部に侵入したりすることとなります。
そうしたことを防ぐために屋根から流れた雨水を横向きの雨樋で受け止めて、横方向に流していくというのが軒樋の役割です。

集水器について

「集水桝」と呼ばれることもある集水器は「横」と「縦」の向きを変える役割を果たしています。
建物の角部分に設置されることが多く、漏斗のような形状をしています。
軒樋を通って横向きに流れてきた雨水を今度は縦向きにして地面に向かって流していくこととなるのですが、そのまま向きを変えようとすると曲がる部分に大きな負担がかかったり、落ち葉やゴミなどが詰まってしまうということがあります。
そこで横向きに流れてきた水を一度集水器に集めて、改めて縦方向に流していくようになっているのです。

竪樋について

軒樋は横方向に水を流していく雨樋でしたが、こちらの竪樋は「縦方向」に水を流していく雨樋です。
集水器に集められた水をこの屋根と垂直になるように設置された竪樋を通して地上に向かって移動させていきます。
縦向きの流れとなるため、勢いが強くなりやすくなります。
こうして地上部分に水を移動させて、排水溝などに排出していくこととなります。

雨樋で起きるトラブルにはどういったものがあるのか

雨樋は色々なことが原因でトラブルが起きます。
起きているトラブルによって対処法も違うので、どういったトラブルが起きているかを確認するようにしましょう。

軒樋や集水器に葉っぱ、ゴミが詰まっている

比較的起こりやすいトラブルがこちらです。
軒樋や集水器は上側が開いている形状のものが多く、葉っぱやゴミが入り込むと詰まってしまうということがあります。
雨樋にゴミなどが詰まると水がうまく流れていかずに「溜まってしまう」「溢れてしまう」ということにつながります。
この状態が続くと、
✅雨樋を適切に通過せずに溢れて高い位置から水が地上に流れ落ちる
✅溢れた雨水が軒先、外壁などに直接かかってしまう
✅溢れた雨水が屋根の部分に戻っていき、屋根の隙間などから建物内部に水が浸入していく
といったことが起きてきます。
高い位置から水がまき散らされるのは歩行者などに対してかかってしまうことがあります。
また、雨水が外壁にかかり続けると、外壁の劣化につながります。
うまく流れていかずに屋根に水が戻ってしまうと、屋根の隙間から水が侵入して下地材に被害を与えることとなります。
こうしたことがあると雨漏りの原因となっていきます。

雨樋が劣化している、ひび割れが起きている、ズレている、外れている、破損している

当然ですが雨樋も長期間使用していると他の部位と同様に経年劣化が起きてきます。
特に昔から使われていたものについてはプラスチック素材のものが多く、長い間太陽光、紫外線に当たっていることで劣化していき、劣化が進むと軽い衝撃でも簡単に壊れるようになっていきます。
これは使用していると必ず起きていくものです。

また、激しい雨や強風などが原因で雨樋がズレてしまう、外れてしまうということもありますし、強風で飛来物が雨樋に当たってしまうということもあります。
雨樋がズレてしまうと適切に水が流れていかなくなりますので、これも元の位置に戻さなければいけません。

雨樋が歪んでいる、勾配角度が変わってしまっている

雨樋は強風や劣化によって歪む、曲がる場合があります。
雨樋が変形してしまったり、元の位置からズレることによって勾配角度が変わってしまうと水が適切に流れていかないということがあります。
雨樋が変形している場合だけでなく、雨樋を固定している金具が破損している、腐食しているといった場合についても勾配角度がおかしくなることがあります。
また、地震などの天災によって被害を受ける場合もありますし、雪が多い地域であれば雪が積もったことによって雨樋が歪んでしまうということもあります。
このように元の位置から勾配角度が変わってしまっている場合は正しい位置に戻すようにしなければなりません。

屋根材を違う素材のものにした、カバー工法を行った

雨樋自体に何も問題はなかったとしても屋根材を違う素材のものに交換したという時には雨樋にも影響が出る場合があります。
瓦屋根だった、スレート屋根だったという屋根を金属屋根に交換した場合やカバー工法を行った場合などは屋根と雨樋の位置関係が変わってしまう場合が多いのです。
軒の出幅が変わった、という場合には雨水が雨樋にスムーズに流れていかないという場合があるのです。
雨樋まで届かない場合や、雨樋よりも外側まで出幅がある場合などは雨樋にしっかりと水が入らずに地面に直接降りかかってしまうということがあります。
何か屋根に大きな工事をした場合などは雨樋との位置関係を確認することが重要です。
特にカバー工法を行った場合は新しい屋根が元の位置よりも外側にきやすいので注意しましょう。

雨樋のメンテナンス方法について

雨樋は時間が経てば経年劣化していくこともありますし、地震、雪、葉っぱ、ゴミなどの原因によっても不具合を起こすこともあります。
それらのトラブルを防ぐためには定期的にメンテナンスを行う必要がありますし、不具合が起きてしまった場合はできるだけ早く対処する必要があります。
ここでは雨樋のメンテナンス方法、対処方法について紹介していきます。

雨樋の掃除を定期的に行うことがかなり重要である

軒樋や集水器は上側が開いている形状となっていることが多く、そこからゴミや葉っぱが入って詰まってしまうことが起こりやすい形となっています。
最近では、軒樋や集水器に蓋がついている製品が販売されてきていますが、まだまだ広く普及していないということもありますし、完全に蓋をしてしまうと水が流れていかないため、わざと隙間を開けているということもあってどうしてもゴミは入ってしまいます。
軒樋や集水器に入った葉っぱやゴミがそれほど多くないのであれば、雨が降った時に雨水などで一緒に流れてしまうということが期待できるのですが、長期間雨が降らない、葉っぱやゴミが多すぎるという状況では流れて行かずに、雨樋の中で詰まってしまうこととなります。
特に庭や近所に大きな木があるという住宅では落ち葉が多く、その葉っぱが雨樋に詰まりやすいという傾向があります。

こうした詰まりを防ぐためには定期的に掃除を行う必要があるのですが、雨樋の掃除を行う際にはいくつかの注意点があります。
まず基本的には雨樋は屋根の端の部分、つまり建物の2階や3階の屋根の端部分に設置されています。
これだけの高さの位置にある雨樋を素人が掃除をするということは非常に危険性の高いものとなっています。
実際にニュースなどでも自分で掃除をしていた人が転落するという事故が起きているということがわかります。
素人が自分で掃除をするというのは確実に安全な方法では掃除ができないことがほとんどですので、業者に依頼した方が安全です。
また、安全を確保して自分で掃除を行うという場合でも、ホースで雨樋に水を流してしまうと葉っぱやゴミが集水器に詰まってしまったりする場合があります。
雨樋の掃除は水を流すのではなく、雨が降っていない乾いている時期にホウキなどを使って掃いていく、大きなゴミは手で集めるというのが正解です。
こうして掃除をする時には雨樋の勾配角度が変わってしまわないように注意しましょう。

雨樋を一度外してメンテナンスや補修工事を行い、元の状態に設置する

もっとも安全に雨樋のメンテナンスを行う方法として、建物から一度雨樋を外してメンテナンスや補修工事を行うという方法があります。
雨樋を外してしまえば補修作業は地上でできますので、「ゴミの掃除」「劣化していないかの点検」「補修作業」などについても安全に行うことができます。
メンテナンスや補修作業を行った後は雨樋を元の場所に設置をしていくのですが、この時にも注意が必要です。
雨樋は水がスムーズに流れていくように勾配角度なども計算されて設置されているため、適当に設置してしまうと水が適切に流れなくなることがあります。
そのため、こうした雨樋を外して行う作業についても専門業者に依頼した方が確実だと言えます。

劣化した雨樋を新しいものに交換する

メンテナンスをしていても雨樋は劣化していきます。
劣化が進んでしまった雨樋については新しいものに交換することとなります。
以前は雨樋はプラスチック製のものが多かったのですが、最近では「塩ビ製」の製品が増えてきています。
塩ビ製の雨樋はプラスチック製のものより耐用年数が少し長くなっており、15~20年前後となっています。

まとめ

雨樋は屋根に降った雨水を適切に排水するための重要な装置ですが、劣化することもありますし、ゴミや葉っぱが詰まってしまうということもあります。
メンテナンスや交換工事が必要になる場合がありますが、高い位置での作業となるため業者に依頼するほうが安全で確実だと言えるでしょう。

〈雨漏りの施工実績〉

▷京都市右京区双ヶ丘にて雨漏り修理

▷京都市右京区蜂ヶ岡にて雨漏り修理

▷京都市右京区山ノ内にて雨漏り修理〈屋根カバー工法〉