築30年以上の屋根、どこに注意?昭和・平成初期住宅の雨漏りリスク

築30年以上の屋根、どこに注意?昭和・平成初期住宅の雨漏りリスク

2025/06/30

現在お住まいの住宅が築何年か把握しておくことは大切です。なぜなら築30年以上経過した住宅は、屋根材の劣化が進み雨漏りを起こす可能性が高くなるためです。屋根の状態はなかなか目にする機会がないため、劣化が進行しても気が付かずに放置しているケースも少なくありません。この記事では、築30年以上の屋根に多い屋根材の特徴や劣化症状、築年数別の屋根に必要なメンテナンスなどを解説します。築年数が長い住宅にお住まいの方や、中古住宅の購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

築年数が古いほど雨漏りのリスクが高まる

築年数が古いほど住宅の老朽化が進み、雨漏りのリスクが高まります。雨漏りが起こる原因は様々で、屋根材や防水シートの劣化、軒裏の劣化、雨樋の詰まり・変形、外壁のひびやサッシ周りのシーリングの劣化など、多くの箇所から雨水が侵入する可能性があります。特に、定期的な住宅全体のメンテナンスを行っていない場合、住宅のどの箇所が劣化しているのか把握できずにいるため、複数の箇所から雨水が侵入して、雨漏りが起こってしまう場合もあるでしょう。雨漏りの原因を突き止めても、複数個所から雨水の侵入が起きていれば長い修繕期間が必要になりますし、修繕費が高額になる可能性も高いです。もしかしたら、大掛かりな住宅全体のリフォームが必要になるかもしれません。築年数が古いという事は、住宅全体に使われている建材が傷み、疲労が蓄積されているという事なのです。

現代の住宅と比べて構造基準が異なる点に注意

昭和・平成初期に建てられ、築30年以上経過した住宅に雨漏りのリスクが高い理由には、現代の住宅と比べて構造基準が異なるといった点もあります。例えば、「地震発生時に建物の倒壊を防ぎ住居者を安全を避難させる」といった目的で制定された耐震基準は、1971年、1981年、2000年に改正されており、揺れに対する建物の耐力や建設前の地盤調査の必須化、耐力壁や配置バランスの基準制定など、改正される度に揺れに対して強い住宅造りを求めるものになっています。揺れに強ければ外壁や屋根がたわむことが少ないため、雨水が侵入する隙間やひびを作りづらくなります。また、昭和・平成初期の木造在来工法で建てられた住宅は、断熱性や屋根裏の通気性が現代の住宅ほど高くなく、湿気がこもりやすい構造になっていることに加え、屋根材や外壁材、防水シートなどが現代ほど性能の良いものではなかったため、劣化するスピードが早く耐久性に問題があったものもありました。

築30年以上の屋根に多い屋根材の特徴と劣化症状

築30年以上の屋根に多い屋根材の特徴と劣化症状は次の通りです。

✔瓦屋根
✔スレート屋根
✔モニエル瓦屋根(乾式コンクリート瓦)
✔トタン屋根

瓦屋根

原料である粘土を圧縮成形して、表面に釉薬を塗り高温の窯で焼き上げたものが粘土瓦(釉薬瓦・陶器瓦)です。古くから多くの日本家屋に採用されているため、もっとも知名度の高い屋根材ではないでしょうか。非常に高い耐久性を持ちますが、重量が重いことや現代の屋根材としては割高であることなどを理由に採用されづらくなっていますが、現在でも根強い人気がある屋根材です。

瓦屋根の劣化症状

瓦屋根は長寿命の屋根材ですが、棟瓦と呼ばれる頂上部の瓦に使用されている「漆喰」のメンテナンスが必要です。漆喰は棟瓦と屋根面との隙間を埋める役割がありますが、15~20年ほどで寿命を迎えます。寿命を迎えるとボロボロと剥がれてしまうため、漆喰の詰め直しが必要です。詰め直しをせずに放っておくと、雨水が侵入したり棟瓦が歪む原因になります。

関連記事▷:瓦屋根の漆喰とは?主な劣化症状とメンテナンスの重要性を解説

スレート屋根

スレート屋根は、原料のセメント繊維素材を混ぜて平らな板状に成型したものです。比較的軽量でそれほど高価でないため、広く普及した屋根材です。築30年以上経過した住宅に使用されているスレート屋根の注意点は、アスベストを含む製品や耐久性が著しく低い製品がある点です。アスベストを含む屋根材は、葺き替えなどで屋根材の交換が必要な場合、撤去費や処分費が割高になります。耐久性が低い製品は、10~15年ほどで塗装メンテナンスができないほど劣化が進行するケースが多く、葺き替えなどの屋根リフォームが必要になる場合があります。

スレート屋根の劣化症状

スレート屋根が劣化すると、屋根材表面の防水膜が失われ、水分を吸収するようになります。水分を吸収・乾燥のサイクルを繰り返した屋根材は、表面がざらざらになって藻や苔が生えたり、強度が極端に低下するため、点検などで屋根に上った際や強風時の飛来物により簡単に割れてしまいます。耐久性を保つためには、定期的な再塗装によるメンテナンスが必要ですが、劣化の進んだものは交換する必要があります。

モニエル瓦屋根(乾式コンクリート瓦)

ヨーロッパ発祥のモニエル瓦は、セメントと砂利を混ぜ合わせて造られるセメント瓦の一種で、乾式コンクリート瓦とも呼ばれています。モニエル瓦の特徴は、西洋の街並みに見られるような洋風なデザインとカラーラインナップ、表面に着色スラリー層と呼ばれる特殊な着色層がある点です。

モニエル瓦屋根の劣化症状

スレート屋根と同じく、表面の防水膜であるスラリー層が弱まると屋根材が水分を吸収し劣化が進行します。また、瓦屋根のように棟瓦には漆喰が使われているため、劣化した場合には詰め直しが必要です。表面の防水性能が弱まってきた場合には再塗装によるメンテナンスが必要ですが、塗装を施す前に表面を保護するスラリー層を完全に除去する必要があります。スラリー層を除去しないまま再塗装を施すと、塗料が上手く密着せず施工不良になってしまうため、特に重要な工程と言えます。さらに、モニエル瓦の塗装にはモニエル瓦専用の塗料が必要で、通常の塗料を使用すると早期劣化や塗膜の剥離を起こす可能性があります。こうしたメンテナンスの難しさからか、屋根材としての採用を徐々に見送られるようになり、現在では生産終了しています。

トタン屋根

トタン屋根は、薄い金属鋼板に亜鉛をめっきした屋根材です。非常に軽量な特徴を持ち、安価であることから住宅や倉庫の屋根材として広く普及しました。反面、断熱性や遮音性、耐食性が低く比較的錆びやすかったことから、現在では高耐食性を持つガルバリウム鋼板がトタンに代わりシェアを延ばしています。

トタン屋根の劣化症状

トタン屋根が劣化し塗装膜が弱ってくると、手で触った際に白い粉のようなものが付くチョーキングや褪色が起こります。次に錆が発生し、放置すると最終的には穴が開いてしまいます。錆が発生するとあっという間に広がってしまうため、チョーキングや褪色が起こった時点で再塗装によるメンテナンスを行いましょう。もし、屋根材の交換が必要になった場合には、より耐食性能の高いガルバリウム鋼板をおすすめします。

築年数別の屋根に必要なメンテナンス

築年数別の屋根に必要なメンテナンスは次の通りです。

✔築10~20年:塗装メンテナンスやシーリングの補修、漆喰の点検
✔築20~30年:棟瓦、棟板金の補修やカバー工法、雨樋の補修
✔築30年以上:屋根の葺き替えや防水シート、下地材の補修や張り替え

築10~20年:塗装メンテナンスやシーリングの補修、漆喰の点検

スレート屋根や金属屋根の塗装が弱くなり防水性能が落ちてくる頃です。特にスレート屋根は、防水性能が無くなると劣化が加速度的に早まるため、早めの塗装メンテナンスがおすすめです。また、サッシ周りや外壁のシーリングが痩せたり亀裂が入ったりしやすい時期でもあるため、点検し必要に応じて再充填や打ち替えをおすすめします。瓦屋根やモニエル瓦屋根は、棟瓦の漆喰が劣化し始める頃です。全ての漆喰がボロボロとはがれ落ちてしまう前に漆喰の打ち直しをしましょう。

築20~30年:棟板金の補修や屋根のカバー工法、雨樋の補修

スレート屋根や金属屋根は、固定釘が抜けて棟板金が浮いたりめくれたりする可能性があるため、補修や交換が必要になる時期です。また、屋根材そのものが傷んで寿命を迎えるものもあるでしょう。下地の状態が悪くなければ、屋根を二重にするカバー工法によって屋根材を新しくする方法もあります。付帯設備の雨樋にも詰まりや変形・破損が起こってるかもしれません。雨樋の破損や詰まりは、思わぬ所へ雨水を運んでしまう可能性があるため、油断は禁物です。

築30年以上:屋根の葺き替えや防水シート、下地材の補修や張り替え

築30年以上経過すると、ほとんどの屋根材は寿命を迎えます。寿命を迎えて屋根材の交換が必要になった場合には、葺き替え工事による屋根のリフォームをおすすめします。葺き替え工事は全ての屋根材を一度剥がすため、屋根材下の防水シートや下地材である野地板の状態を確認できるメリットがあります。防水シートや野地板が傷んでいる場合には、張り替えや一部補修を行うことで、屋根を新品の状態に近づけることができます。また、新しく交換する屋根材には、古い屋根材と違う素材の屋根材を選べるケースもあるため、軽量で耐久性の高い屋根材に交換することもできます。

関連記事▷:屋根修理が必要な瓦屋根の劣化症状をご紹介

まとめ

この記事では、築30年以上の屋根に多い屋根材の特徴や劣化症状、築年数別の屋根に必要なメンテナンスなどを解説しました。今お住まいの住宅にあと何年住みたいのかを考えることで、必要な修理の範囲や施工費は変わります。中古住宅を購入する予定のある方は、将来に必要なメンテナンスや費用も考慮して検討しましょう。

京都府右京区の株式会社Re,ルーフは、屋根に関する修理全般を行う会社です。屋根の葺き替え工事やカバー工法など、大掛かりな工事にも対応しているため、屋根のリフォームなどもお任せください。相談や点検も承っておりますので、株式会社Re,ルーフにお気軽にお問い合わせください。