屋根のルーフィングの役割とは?雨漏りの関係性について解説

屋根のルーフィングの役割とは?雨漏りの関係性について解説

2024/06/24

屋根には見える部分に屋根材があって、その屋根材が雨などから建物を守っています。
ただ、どうしても大雨などの時は屋根材の部分を通過してしまうことがあります。
こうした雨水を室内に通さずに最後の砦として保護するのが「ルーフィング」です。
ここではそんなルーフィングの役割と雨漏りとの関係性などについて紹介していきたいと思います。

ルーフィングについて

普通に生活しているとあまり聞くことがない「ルーフィング」という言葉ですが、屋根の部位の中でも非常に重要な役割を果たしている部位でもあります。
ここではまずルーフィングがどういったものなのかについて紹介します。

ルーフィングの概要について

「ルーフィング」は屋根材の下に設置される部分で「下地」と呼ばれる部分となっています。
他の呼び方では「防水紙」「防水シート」のことを指しています。
外からは屋根を見たとしても屋根材の下に設置されているために見えないのですが、雨が降った際に雨水を屋根の内部、屋根裏部分に入れずに外部に排出するという働きをしています。
ルーフィングの材質には色々とあり、それぞれに機能を持っています。
防水性が高い、遮熱効果が高いといった製品が多く出ています。
また、製品によって耐用年数が違っており、劣化すると補修や交換をする必要があります。屋根材とも合わせて選んでいくと良いでしょう。

ルーフィングの役割、重要性とは

屋根材にも色々な種類があるのですが、瓦屋根やスレート屋根、金属屋根などの一般的な屋根材を設置していくと屋根材同士の接続部分などにどうしてもわずかな隙間ができてしまいます。
屋根材自体にある程度防水効果があるという屋根材もありますが、屋根材だけで雨水を完全に防ぐということはできず、どうしても屋根材の隙間から雨水が内部に入り込んでしまいます。
そこでその雨水を防いでくれるのがルーフィングです。
屋根材を通過してきた雨水をルーフィングが防ぎ、屋根裏部分や室内に雨水を入れることなく外部に排水してくれるのです。
そのため、ルーフィングが正常に機能していれば雨水が建物内部に侵入していくということがありません。
もちろん、ルーフィングが劣化している、破損している、破れているという状態だとルーフィングが雨水の侵入を防ぐことができずに雨水は屋根裏や室内に侵入していくこととなります。
そう考えると屋根材が多少劣化、破損していたとしてもルーフィングが正常に機能していれば雨水が建物内部に侵入する、雨漏りがするということは防げるという理屈になります。
ただ、屋根材が劣化、破損していると大量に雨水が下地部分まで侵入してくるということになりますので、それだけルーフィングにかかる負担が大きなものとなり、ルーフィングの劣化が早くなりますので屋根材がまず正常な状態で維持されていることが重要となるのは間違いありません。

ルーフィングの材質の種類とそれぞれの特徴とは

ルーフィングには材質の違いによって多くの種類があり、さまざまなメーカーが製品を提供しています。
そこでここではルーフィングの種類とそれぞれの特徴について紹介していきます。

アスファルトルーフィングとは

こちらは現在日本でもっとも多く使われている一般的な種類のルーフィングとなっています。
この中でも種類があり、大きく「アスファルト」と「改質アスファルト」の2種類に分かれます。
どちらも基本的には原紙にアスファルトを染み込ませて作られています。

・アスファルト
こちらはアスファルトルーフィングの中でもとにかく安価で使いやすいという利点があるために幅広く利用されているルーフィングです。
アスファルトは融点が50℃となっているため、地域によっては強い日差しによって屋根部分が高温になる夏の間は柔らかくなります。
逆に冬の低温時期になるとアスファルトが硬くなって柔軟性が無くなっていきます。
こういった硬化と軟化といった変化が何度も繰り返されることによって劣化が進んでいくこととなり、ひび割れ、破損、亀裂などが発生することで防水性が低下していきます。
耐用年数も10~20年ほどと低くなっているのですが、価格が安く、使いやすいということから広く普及しているのです。
こちらを使用する場合は定期的にメンテナンスが必要となります。

・改質ゴムアスファルト
アスファルトルーフィングは値段も安価で、使いやすいのですが、温度によって状態の変化が起こりやすく、硬化と軟化を繰り返すことで劣化が早いという弱点があります。
耐用年数も10年程度とそれほど長くありません。
そこでアスファルトに「ゴム」「合成樹脂」「ポリマー」「プラスチック」などの素材を混ぜ込み、耐久性を向上させたものが「改質アスファルト」「改質ゴムアスファルト」と呼ばれるルーフィングです。
アスファルトルーフィングよりも耐久性が大きく高まっていることから耐用年数も20年以上と長くなっています。
この製品の中には特にハイグレードなものになると耐用年数が50年以上あるものもあります。
性能や耐用年数を考えると非常に優秀なルーフィングだと言えるでしょう。

高分子系ルーフィング

高分子系ルーフィングは、合成ゴムや塩化ビニールを原料として作られているルーフィングです。
アスファルトルーフィングよりもはるかに軽量であるということが特徴となっています。
そのため屋根裏が重くなりすぎるということを防ぐことができます。
屋根の軽量化については耐震性能を高めることにつながるということで近年重視されている項目ですので、軽量であるというのは非常に大きいメリットだと言えるでしょう。
また、アスファルトルーフィングと同様に透湿性はなく、水分や湿度を通すことがありません。
一般的に耐用年数は15~20年ほどとなっています。

透湿防水ルーフィング

透湿防水ルーフィングは高い防水効果を持っていることに加えて、屋根裏部分の湿気を外部に排出することができる効果が期待できるという非常に高性能なルーフィングです。
一般的に屋根の屋根材や内部の下地部分、木材といった部位が劣化したり、腐食したり、シロアリが発生したりすることのもっとも大きな原因となるのが「湿気」です。
湿気はカビなどの発生にも影響してきます。
屋根裏部分に湿気が溜まった状態が長く続くとそれだけ木材や他の部材の劣化も早くなってしまうのです。
この透湿防水ルーフィングを使用することで屋根裏に溜まった湿気を外部に排出することが可能となります。
そうして湿気を建物の内部に溜めないことによって屋根裏の部材などを劣化させずに維持できます。
また、ルーフィング自体の耐用年数も約50年と長くなっている特徴があります。

このように使用メリットの多い透湿防水ルーフィングですが、まだまだ日本ではあまり普及していません。
全体のシェアとしても約5%にとどまっています。
まだ広く普及していない理由としては、透湿防水ルーフィングは一般的なアスファルトルーフィングとは違った施工方法となるために扱う施工業者が限られるということ、併用できる屋根材も限られるということ、施工が高額になりやすいということが理由となっています。

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ルーフィングを選ぶ際のポイントや注意点とは

ルーフィングには素材によっても色々な種類がありますし、数多くの製品がメーカーから販売されています。
しかしルーフィングが設置されている場所が屋根裏ということもあって家主が直接頻繁に見る、製品を選ぶ、という機会はあまりありません。
家を建てた時か、大規模な屋根の補修工事などを行うときなどに限られてきます。
そのために建物に合った適切なルーフィングを選ぶということは非常に重要となります。
そこでここでは建物に適したルーフィングを選ぶ際のポイント、注意点を紹介していきます。

ルーフィングと屋根材との相性を考える

ルーフィングを選ぶ際にはルーフィング単体での性能だけで選ぶのではなく、「ルーフィングと屋根材、建物との相性」を考える必要があります。
一例をあげると、屋根材よりもルーフィングの方が耐用年数が短ければ屋根材が劣化しておらずにまだ使用できるという状態であったとしても屋根材を一度取り払って撤去した上で、ルーフィングなどの下地部分を交換する必要が出てきてしまいます。
一度取り払った屋根材を再び元のように設置して使用するのは難しいため、結局屋根材も新しいものに交換して設置する工事をする必要があります。
逆に耐用年数の長いルーフィングを選んだとしても屋根材の耐用年数が短ければ先に屋根材が劣化して使用できない、交換が必要な状態になっていきます。
屋根材が劣化、破損してくると防水効果が低下し、多くの雨水が内部に侵入してくるためにルーフィングにかかる負担も大きなものとなり、結局はルーフィングの劣化も早くなり、破損したり破れたりしていきます。
屋根材とルーフィングの相性を考えて同じ時期に交換するようなタイミングがくるように、うまくバランスを保てるような製品を選ぶことが効率的でコストパフォーマンスが良くなると言えるでしょう。

実績があって信頼できる施工業者、職人を選ぶ

ルーフィングは設置される場所が屋根材の下部分の下地になるため、一度設置した後に上から屋根材が設置されると外部からは見えなくなってしまう部分でもあります。
外部から見えなくなる、家主が直接確認できない部分ということもあって悪質な業者に当たると、勝手に安価なルーフィングが使用されたり、手抜き工事が行われたりすることがある部分でもあります。
安価なルーフィングが使われるとすぐに劣化してしまうことがありますし、高価なルーフィングを選んでも施工技術が低いと性能を思うように発揮できないということも多くあります。
もちろん手抜き工事で適当な設置工事をされた場合も同様です。
こうした悪質な工事が実際に行われたとしても、それになかなか気づくことができない位置であるということがありますので、こうしたルーフィングなどの下地部分の工事には信頼できる施工業者を選ぶということが何よりも重要となります。
実績があって信頼できる施工業者を選ぶようにしましょう。

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まとめ

ルーフィングは屋根裏で建物内部に雨水が侵入していくのを防いでくれるという非常に重要な役割を果たしている部位です。
このルーフィングが正常に機能しているうちは雨漏りが発生することがないという部分です。
ここが劣化、破損してしまうと雨漏りの発生につながりますので、しっかりとメンテナンスを行っていきましょう。

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