神社仏閣だけじゃない?京都で受け継がれる瓦文化について

神社仏閣だけじゃない?京都で受け継がれる瓦文化について

2026/05/19

京都には、いぶし銀瓦、鍾馗さん、鬼瓦、本瓦葺きなど、他の地域にはない瓦屋根に関する伝統が残っています。
この記事では、京都で受け継がれる瓦文化を紹介するとともに、こうした京都の伝統的に瓦屋根を守るためにどのようなメンテナンスを行えばよいのか解説します。

京都の屋根瓦の独特な文化とは

 

 

京都の屋根瓦には、他の地域にない独特な文化があります。代表的なものを紹介しましょう。

いぶし銀瓦

京都の瓦屋根は、銀色に輝いて見えるものが多いですよね。
これは、いぶし銀瓦といい、一般的な瓦(釉薬瓦)とは違った製造方法により作られているものです。
瓦は粘土から作ります。
一般的な瓦(釉薬瓦)は、粘土で瓦の形に成形したあとで、釉薬を塗ります。この釉薬により様々な色彩や艶を出すことができます。
その後で、1000℃以上の高温で焼き上げて完成します。

いぶし銀瓦は、粘土をこねて、瓦の形に成形するまでは同じですが、その後の工程は異なります。
成形した瓦の表面を丹念に磨き上げます。この磨きの工程は、いぶし銀瓦の輝きを出すために重要な工程なのです。
その後、成形した瓦を高温で焼成します。これで完成ではなく、さらに、還元炎で、いぶすことにより、表面に炭素膜を形成します。
この炭素膜が、いぶし銀の輝きを出しているわけです。

鍾馗(しょうき)さん

京都の瓦屋根には、人形が乗っていることがあります。
一体何の人形なのだろうと疑問に思う方も多いかもしれません。
この人形は名前があり、鍾馗(しょうき)さんと言います。
鍾馗さんは、もともと中国の道教の神で厄除けの効験があると言い伝えられてきました。
中国の唐の時代に玄宗皇帝が病にかかった際に、鍾馗が現れて、病気の源である小鬼を捕らえて退治しました。目覚めた玄宗皇帝は、鍾馗の絵を描かせて、以後、邪気除けとして飾るようになったと言われています。
この伝統が日本にも渡来し、主に疱瘡除けや学業成就の効験があるとして、日本の家でも祀るようになりました。

京都では、屋根に鍾馗さんを飾る風習が残っています。
この鍾馗さんは、いぶし銀瓦と同じ原料で作られている焼き物です。
そして、鍾馗さんは、屋根の上から、魔物や病といった悪いものが家に入るのを見張っていると言われています。

鬼瓦

京都の瓦屋根の棟の端には、デザイン的な瓦が設置されていることがあります。
これを鬼瓦と言います。
鬼瓦は、棟の端の雨仕舞のために設置するものですが、同時に、魔よけの意味もあると言われています。
実際に、鬼の面のようなデザインの鬼瓦もよく見かけるのではないでしょうか。

本瓦葺き

 

現在の一般的な瓦屋根は、桟瓦葺きといい、波形の和瓦(J形)を重ね合わせるように葺いていく工法が一般的です。
それに対して、神社仏閣などでよく見られる工法が本瓦葺きと呼ばれる工法です。
これは、丸瓦と平瓦を相互に葺いていくものです。
地上から見上げると丸瓦の部分は、軒先から棟まで、一本の竹が伸びているように見えるはずです。

しかし、本瓦葺きは、丸瓦と平瓦を別々に葺かなければならず、非常に手間がかかります。そこで、丸瓦と平瓦を一体化した波形の和瓦(J形)が生産されるようになると、一般の住宅では、桟瓦葺きが主流となりました。
ただ、神社、仏閣では、現在でもこの本瓦葺きが採用されていることが多いです。
京都では、一般住宅でも本瓦葺きを採用していることがあります。

軒先瓦

本瓦葺きの屋根では、軒先の瓦にも意匠が施されています。
丸瓦の軒先部分には、その家の家紋などがあしらわれることが多いです。
平瓦の軒先部分にも独特な文様が施されています。
特に、神社、仏閣の軒先瓦には荘厳な寺社紋などが描かれていることが多いです。

一方、桟瓦葺きの一般住宅では一文字軒瓦と言い、軒先のラインが「一」の字のように、まっすぐな直線になっている瓦もあります。

いぶし銀瓦と一般的な瓦(釉薬瓦)の違いは?

京都の瓦屋根でよく使われているいぶし銀瓦と一般的な釉薬瓦はどう違うのでしょうか?
まず、製造方法が違うことは、先に紹介したとおりです。
では、性能面ではどう違うのか紹介します。

いぶし銀瓦は色ムラが生じる?

釉薬瓦は、釉薬により様々な色彩や艶を出しています。
一般的な食器と同じなので、風雨や直射日光にさらされても、劣化しにくく、長い期間にわたり、新築当時の状態を保つことができます。

それに対して、いぶし銀瓦は、新築当初は、均一ないぶし銀の色が出ていますが、歳月が経つと色ムラが生じてしまいます。炭素によって形成されたいぶし銀の皮膜が磨耗するためです。
もっとも、色ムラが生じても、いぶし銀瓦が劣化しているわけではありません。
経年変化により生じる色ムラが、むしろ、風情があって良いと考える方も多いです。

いずれにしても、いぶし銀瓦と釉薬瓦とで、寿命や耐久性に大きな違いはありません。

いぶし銀瓦は吸水率が低い?

一般的な釉薬瓦は、一度焼成するだけですが、いぶし銀瓦は一度焼成した後で、いぶすことにより、表面に炭素膜を形成しています。
つまり、二度焼成しているのと同じことになるわけで、瓦内部の成分の結束力が高いことも特徴です。

一般的な釉薬瓦は、瓦本体はもちろんですが、表面にコーティングされた釉薬の成分により、水分を弾いています。
いぶし銀瓦には、表面にコーティングがありませんが、瓦本体の吸水率が低く、水を吸いにくい性質があります。

そのため、いぶし銀瓦も釉薬瓦と同様に50年以上の耐用年数があります。

本瓦葺きと桟瓦葺きの違いは?

本瓦葺きと桟瓦葺きとでは、使っている瓦が異なることを紹介しました。
ここでは、更に踏み込んで、本瓦葺きと桟瓦葺きとでどのような違いがあるのか見ていきましょう。

工法の違い

本瓦葺きと桟瓦葺きとでは、工法が異なります。

現在の桟瓦葺きは、野地板で屋根の形を作った後は、桟木と呼ばれる瓦を引っ掛ける角材を渡して、それに、波形の和瓦(J形)を引っ掛けるようにして葺いていきます。

それに対して、本瓦葺きの場合は、土葺きと呼ばれる工法で葺くのが一般的です。
野地板の上に、粘土などをおき、その上に丸瓦と平瓦を押し付けるようにして葺いていくのが伝統的な本瓦葺きです。

土葺きの場合、土の分、屋根の重量が重くなります。
瓦屋根自体が、現在では、金属屋根などと比較しても重い屋根に分類されますが、伝統的な本瓦葺きの場合は、その中でも特に重い屋根材になります。
そのため、一般住宅で伝統的な本瓦葺きを採用する場合は、その重さに耐えられる構造になっているかどうかを確認することが大切です。

もっとも、現在では、本葺き一体型の瓦屋根も登場しています。
これは、J形瓦と同様に丸瓦と平瓦が一体となったもので、引掛け桟工法により施工することができます。
本葺き一体型の瓦屋根を引掛け桟工法で施工すれば、標準的な瓦屋根とほぼ同じくらいの重量に収まります。

京都の瓦屋根を長持ちさせるためには?

京都の伝統的な瓦を使った屋根は、瓦自体が50年以上の寿命を誇ることから、メンテナンスが必要ないと考える方もいるかもしれません。
しかし、瓦屋根でも定期的なメンテナンスをしないと、50年以上持たせることはできません。

漆喰のメンテナンス

瓦屋根には、棟瓦と平瓦の境目に隙間があります。これは、平瓦が波の形にうねっていることから必然的に生じるものですが、この隙間を埋めるために、漆喰が詰められています。
漆喰というと、何百年と長持ちするイメージがあるかもしれませんが、屋根瓦に使われている漆喰の寿命は20年程度です。
20年経過すると、ひび割れたり、黒ずんだり、剥落してしまいます。
漆喰が詰められている部分に大きな穴が空いてしまうと、雨水が浸入したり、条動物が屋根裏に入り込む侵入口になってしまいます。

これを防ぐためには、20年程度を目安に漆喰の詰め直しを行うことが大切です。

瓦屋根のズレなどを定期的にチェックする

瓦屋根は、ズレや浮きなどが生じやすい屋根材です。
桟瓦葺きの場合は、瓦を積んでいるだけで、緊結されていないこともあります。
当然ながら、地震や台風によって、瓦がずれたり、浮いたりしてしまうことがあります。
このような場合は、ズレや浮きを直すために、瓦の葺き直し工事を行う必要があります。

ルーフィング(防水シート)の耐用年数に注意する

瓦自体は寿命が50年以上と長いですが、野地板に敷いてあるルーフィング(防水シート)は、瓦ほどの寿命はないことがほとんどです。
ルーフィングの寿命が過ぎてしまうと、瓦の隙間から浸入した雨水を止めることができず、雨漏りにつながってしまいます。
すでに室内で雨漏りが発生している場合は、ルーフィングの寿命が過ぎていることが根本的な原因です。
ルーフィングは、10年から20年程度で寿命が来てしまうのが一般的です。
この場合は一旦瓦を剥がして、ルーフィングの張替え工事を行う必要があります。

なお、瓦屋根の場合は、剥がした瓦を再利用する事ができるので、瓦の葺き直し工事のなかでルーフィングの張替えを行うことができます。

まとめ

京都で受け継がれる瓦文化と瓦屋根のメンテナンス方法について紹介しました。
京都の瓦屋根を守るためには、定期的な点検と修理が必要です。異常がある場合は早めに屋根職人にご相談ください。
Re,ルーフは、京都市右京区を中心に活躍する屋根工事職人直営店です。京都市や亀岡市などを中心に京都府全域で屋根工事や雨漏り修理工事を承っています。
京都で受け継がれる瓦文化を守る担い手として、これからも活動していきます。
京都の瓦屋根の事でお困りのことがあるならお気軽にご相談ください。ご相談いただければすぐに対応いたします。