瓦のズレは雨漏りの原因に!気を付けておきたい劣化症状

瓦のズレは雨漏りの原因に!気を付けておきたい劣化症状

2024/08/30

日本で古くから使用されている瓦屋根ですが、いくつか注意しなければならない点があります。
瓦自体は耐用年数も長く、耐久性の高い屋根材ですが、さまざまなことが理由となって瓦がズレてしまう、外れてしまうということがあります。
瓦がズレてしますと雨漏りの原因にもつながります。
そこでここでは瓦屋根の注意すべき劣化症状について紹介していきたいと思います。

瓦屋根が劣化していく、ズレてしまうというのはどういったことが原因か

瓦屋根自体は耐用年数も長く、大きなトラブルがなければ非常に長く使用できる屋根材なのですが、それでも瓦屋根が劣化しているように感じるというのは、「瓦がズレている」「瓦が割れている」「雨漏りが発生している」という時に感じられることが原因です。
ではこれらの症状が起きるのはどういったことが原因なのでしょうか。
ここでは瓦屋根が劣化していくという原因、症状について紹介していきます。

瓦の耐用年数が過ぎている、破損している、割れている

瓦屋根は金属屋根やスレート屋根などの他の屋根材と比べると耐用年数が長く設定されているものが多くなっています。
粘土瓦やセメント瓦など瓦屋根にも色々な種類がありますが、その中でも粘土瓦は50年以上の耐用年数があるものもあります。
そのため瓦自体のメンテナンス期間は長くなっており、瓦がすぐに劣化するということはありません。
ただ、それでも永久に劣化しないというわけではないので、いずれ劣化してくると交換しなければならないのは間違いありません。

また、耐用年数とは関係なく、台風の際に飛来物があって瓦に直撃した場合などは瓦が破損してしまう、割れてしまう場合があります。
強風によって瓦がズレてしまったり、外れてしまうということもあります。
これらのように瓦自体に問題がある場合はわかりやすい症状が出ると言えます。
新しい瓦に交換する、補修メンテナンスを行うということで対応ができます。

▷瓦屋根から雨漏りする原因とは?雨漏りを繰り返さない対策方法について

漆喰、コーキングが劣化している場合

瓦屋根は屋根の上にただ乗せているというだけでなく、瓦の周囲を漆喰によって固定されています。
漆喰は日本で古くから屋根の上で瓦を固定する素材や外壁材として使用されてきた素材です。
利用については日本だけでなく世界中でされており、汎用性の高い素材だと言えるでしょう。
瓦を屋根の上で固定するために重要な役割を果たしている漆喰ですが、この漆喰は耐用年数が20年前後と一般的な瓦よりも短くなっているために、瓦よりも先に漆喰が劣化していくこととなります。
漆喰が劣化することで、漆喰が乾燥してパサパサになっていきます。
すると瓦の固定力が弱まり、瓦を屋根の上で支えることができなくなって瓦がズレてしまうということがあるのです。
また、瓦の周囲にコーキングが打たれていることもあるのですが、こちらも10年前後の耐用年数となっているために瓦よりも先に劣化していきます。
このように漆喰やコーキングが瓦を固定させているのですが、漆喰やコーキングは瓦よりも先に劣化していくために、漆喰やコーキングの劣化によって瓦の固定力が弱くなってしまうことがあるのです。

ルーフィング、野地板などの下地材などが劣化している場合

瓦屋根の耐用年数がまだ残っていて劣化しておらず、漆喰やコーキングにも問題がなくて瓦がズレたり外れたりしていないという場合であっても、その他の部材が劣化していることによって雨漏りが発生したりする場合があります。
瓦の下部分にはルーフィングと呼ばれる防水シートが設置されており、その下には野地板と呼ばれる下地が設置されています。
これらが屋根の下地と呼ばれる部分となります。
大雨の際にもし瓦屋根の部分を雨水が通過したとしても、このルーフィング部分で水を防いでくれるので建物内に水が浸入しないということになっているのです。
そのため理論上は瓦屋根が劣化したりズレたりしていてもルーフィングや野地板が正常に機能しているのであれば、ここで雨水が防がれるために雨漏りは起こらないということになります。
しかし、これらのルーフィングや野地板の耐用年数は瓦よりも短く、瓦よりも先に劣化していきます。
もちろん瓦屋根を通過してくる雨水が多くなるほど、これらの下地の劣化は早まることとなります。
こうしてルーフィングや野地板が瓦屋根よりも先に劣化していくと、瓦を下から支える固定力が弱まってくるために瓦がズレたり外れてしまうということがあるのです。
また、ルーフィングや野地板が劣化しているとここで雨水が防げなくなってしまい、大雨の際などは建物内部に水が浸入してしまうことで、雨漏りが発生していくこととなります。

▷屋根のルーフィングの役割とは?雨漏りの関係性について解説

瓦がズレてしまった、外れてしまった場合のメンテナンス方法とは

瓦屋根だから長期間放置しても大丈夫というわけではなく、定期的にメンテナンスをすることが重要となってきます。
瓦がズレていないか、漆喰やコーキングは劣化していないかといったことを確認していくのです。
ただ、下地に関しては瓦屋根を外さなければ確認できないため、点検についても本格的に行わなければいけないこととなります。
早めに屋根材などの異常に気づくことができれば、補修メンテナンスや交換なども必要最低限な小規模なもので済むでしょう。
こうした異常は気づくのが遅くなると劣化や破損がひどくなっているために被害が大きくなる傾向があります。
ここでは瓦がズレてしまっていた、破損していたという場合のメンテナンス方法について紹介していきます。

瓦自体に問題がない場合は元の位置に設置し、なおして固定する

台風の際に強風などによって瓦がズレてしまった、外れてしまったというだけで瓦自体が破損していない、割れていないという場合には瓦を元の位置に設置しなおして固定することによって修理できることとなります。
ただ、瓦自体に問題がないということで元の位置に設置しなおしたとしても、瓦の周囲の漆喰が劣化していたり、瓦の下に設置されているルーフィングや野地板が劣化している場合はその部分から雨漏りが発生しやすくなったり、固定力が弱まっているために瓦が再びズレてしまうことが多くなっています。
瓦がズレてしまっている時には単純に瓦を元の位置に戻せば良いというわけではなく、その下部分にあるルーフィングや野地板の確認をする、漆喰やコーキングの状態も確認した上でその状態に合わせて補修メンテナンスをした上で瓦を元の位置に戻すのが良いでしょう。

一部だけが破損しているのであれば瓦や下地を部分的に補修する

狭い範囲の瓦がズレたり、少し破損している場合やルーフィングや野地板が部分劣化してしまっているという場合には、その傷んでいる瓦と下地を含めて部分補修を行うこととなります。
劣化や破損してしまっている部分の瓦屋根を剥がして、傷んでいる下地材も撤去した上で新しいものに交換して設置していきます。
あくまでも全面的に破損や劣化しているのではなく、部分的に劣化している、破損しているという時に効率的に補修することができるという方法ですが、破損している範囲が広い、劣化の程度がひどいという場合には瓦や下地も含めて全体的な葺き替え工事を行う必要があります。
この方法はあくまでも部分的な補修をする場合のみに利用する方法です。

瓦の葺き替え工事を行う

破損や劣化が狭い範囲ではなく、瓦の大部分がズレてしまっていたりする場合や、破損している瓦が多い、多くの瓦が劣化している、ルーフィングや野地板がひどく劣化しているという場合には、瓦や下地も含めて全面的に葺き替え工事を行う必要性があります。
葺き替え工事を行う場合には、まず瓦屋根を一度すべて剥がして撤去してしまい、ルーフィングや野地板も既存のものをすべて撤去した上で新しい下地を設置していくこととなります。
下地を新しいものに交換して設置していき、その上から新しく屋根材を設置していくこととなります。
もっとも改修工事としての効果が高く、次のメンテナンスまでの期間も確保できるという方法ではありますが、時間や費用が一番かかる方法でもあります。
既存の瓦屋根などの撤去費用、処分費用などがかかるためですが、どういった屋根材を使用するかによっても費用は大きく違ってきますので、事前にしっかりと見積書をとって確認することをおすすめします。
瓦屋根から瓦屋根にするのか、スレート屋根や金属屋根に変更するのかによっても費用が違ってくるためです。
他の大規模な補修工事としてカバー工法がありますが、瓦屋根の場合はもともとの屋根がかなり重いために2重の屋根となるカバー工法はあまり使用されません。
行うにしても軽い金属屋根に限定されることがほとんどだと思っておきましょう。

▷屋根修理におけるカバー工法と葺き替え工事の違い

瓦の塗装メンテナンスを行う

粘土瓦の場合には必要ありませんが、セメント瓦の場合は定期的に塗装メンテナンスを行う必要があります。
セメント瓦はセメント部分の本体自体は水分を吸収する性質があるため、表面に防水性能が高い塗装メンテナンスを行う必要があります。
瓦自体はある程度耐用年数は長いのですが、塗装は10年程度で薄くなる、剥がれてくるということがあるため塗装をし直さなければいけないのです。
これは瓦、漆喰、コーキングなどが劣化していなかったとしても行わなければならないものとなってきますので、メンテナンス計画に組み込んでおくと良いでしょう。

まとめ

瓦屋根の建物では瓦自体が耐用年数が長いために破損、劣化していなかったとしても他のことが原因で雨漏りが発生する場合があります。
漆喰やコーキングが劣化している、ルーフィングや野地板などの下地が劣化している、塗装が薄くなっているといったことです。
これらが原因となって瓦がズレてしまう、外れてしまうということがあるため、定期的にメンテナンスを行い、早めに対応できるようにしていきましょう。