京都市でも多いスレート屋根の劣化症状と屋根修理方法について

京都市でも多いスレート屋根の劣化症状と屋根修理方法について

2024/06/24

屋根材には瓦屋根、スレート屋根、金属屋根などさまざまな種類があります。
京都では古くから続く建物が多いため瓦屋根が多く使われているということがありますが、スレート屋根の建物も多くあります。
ここではそんな京都市でも多く見られるスレート屋根の概要、劣化症状、屋根修理方法について紹介していきたいと思います。

スレート屋根について

まずスレート屋根がどういったものなのか、どういった特徴があるのかということについて紹介していきます。

スレート屋根の概要について

日本では昔から瓦屋根が多く使われてきましたが、瓦屋根は重量が重いということもあって耐震性能を考慮して軽量化が進んできています。
こうして屋根材はスレート屋根や金属屋根が増えてきています。
特にスレート屋根は幅広く普及しており、日本でもっとも多く使用されている屋根材となっています。
ただ、スレート屋根には大きく分けて「天然スレート」「化粧スレート」という2つの種類があります。
それぞれの特徴を知っておくと良いでしょう。

✅天然スレートについて

天然の粘板岩を素材としたスレート屋根は天然スレートと呼ばれており、その名前の通り天然石を使用したスレート屋根となっています。
天然石独特の高級感、優雅さ、美しさを持つものであり、全体的に青色と黒色の模様が入っており、とにかく見た目が美しい屋根材として人気となっています。
ただ、この天然スレートは高額になりやすいため、一般的な住宅では使用されることは少なく、一部の高級住宅などでしか使用されることはありません。
また、天然石を加工するために施工もしにくいというだけでなく、塗装もすることはできないのでかなり使用には制限がかかるものとなっています。
あくまでも限定した使い方になるスレート屋根だと言えるでしょう。

✅化粧スレートについて

化粧スレートとはセメントを原材料としたスレート屋根のことです。
素材がセメントということもあって天然スレートよりもはるかに値段が安く、デザイン性やカラーバリエーションも豊富ということもあって広く普及しています。
最近では「スレート」というと普通はこの化粧スレートの屋根材を指すようになっています。
ただ、2004年以前に製造された化粧スレートの中には「アスベスト」が含まれていることがあります。
アスベストは人体に有害な物質として社会問題にもなった成分です。
スレート屋根に多く使用されていたものですが、発がん性物質であるということが大きな問題となったため、2004年以降はアスベストを含む製品の製造、販売が禁止されています。

この化粧スレートはカラーバリエーションが豊富なこともあって建物の外壁や周囲の風景などと屋根の色を合わせやすいという特徴があります。
また、屋根材の形状も平板や波型などの種類があるので、デザイン性が豊富なのも建物の雰囲気と合わせやすいといえます。

スレート屋根のメリットについて

日本でもっとも使用されているスレート屋根にはいろいろなメリットがあります。
ここではそれらのメリットを順に紹介していきます。

瓦屋根よりも重量が軽く、耐震性が高い

日本では古くから瓦屋根が屋根材として使用されてきましたが、やはりその重量の重さから建物の柱や壁などにかかる負荷が多く、耐震性に問題がありました。
屋根が重いほど建物に負担がかかり、地震があった際には大きく揺れるということもあって耐震性に問題があるとされています。
スレート屋根は薄い板状の屋根材となっており、瓦よりもはるかに重量が軽いという特徴があります。
重量が軽いために屋根が軽くなり、建物にかかる負荷も小さくなることで耐震性を高めることにつながっています。
特に建物がある地域が地震が多いという地域では屋根が軽くなるのは大きなメリットとなるでしょう。

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安価であり、操作性も高いので扱いやすい

スレートの中でも天然スレートは高価な素材となっていますが、化粧スレートはセメントが主原料となっているため、比較的安価で使用できます。
そのため化粧スレートを使用することによって、建築費用を抑えることが可能となります。
また、瓦を使用する場合は瓦が高価なことに加えて、施工するのに技術が必要となることから施工費用が高くなりがちですが、スレートは扱いやすいことから施工費用も安くなっているため、全体的なコストを抑えることができます。

多くの職人や業者が扱っているので工事がしやすい

化粧スレートはその扱いやすさ、汎用性の高さなどから扱っている職人や業者が多い屋根材ですので、多くの業者で工事が可能となっています。
また、施工自体も行いやすいために施工費用も安くなっています。
瓦を使用する際には業者によっては扱っていないということもあり、施工する職人の技術も高いものが求められることから工事費用も高価になりがちです。
多くの業者が扱っている、施工費用が安いという利用バランスが優れているのもスレートのメリットだといえます。

カラーバリエーションやデザインが豊富である

化粧スレートは形状やカラーバリエーションが豊富に用意されているため、高いデザイン性、合わせやすさを持っている屋根材でもあります。
家屋の屋根の形、建物の色、周囲の風景に合わせて色や形を選ぶことができるので、外観を整えたいという場合にも適しています。
自分好みの屋根にしたい人に特におすすめだといえます。

スレート屋根のデメリットについて

利用メリットの多いスレート屋根ですが、実際に利用する際にはいくつかのデメリットもあります。
ここではそれらのデメリットについて順に紹介していきます。

耐久性が低い、割れやすい、破損しやすい

スレートは薄い板状の屋根材となっているため、施工する際に扱いやすい反面、破損しやすい、割れやすいという特徴があります。
台風の際などに飛来してきた物、落下物などによって割れてしまうということもあるので、台風がよく通る地域、強風域によく入るといった地域ではあまりおすすめはできません。
スレートが割れたり、破損したりすると落下して危険ということもありますし、その割れた部分から雨水が内部に侵入して雨漏りの原因にもなりますので注意が必要です。

防水性、耐水性が低い

スレートは薄い板状のものを組み合わせて屋根を作っていくという施工方法となります。
そのため、屋根材同士がうまく組み合わさって施工されていない、接続がうまくいっていないという時にはその部分から雨水が侵入していきやすいという特徴があります。
また、屋根材同士の接続部分にはカビ、コケなどが発生しやすく、そこから屋根材の劣化が進んでいくことがあります。
スレート屋根の表面には防水性を高める塗装がなされていますが、この塗装が薄くなってくると急激に耐水性が低下します。
スレート屋根本体部分は水分に弱いものであるため、塗装が薄くなると急激に劣化する可能性もあります。
これらを考えると、台風が多い、大雨がよく降るという地域では雨漏りしやすい屋根材でもあるとも言えるでしょう。

塗装メンテナンスの頻度が高い

化粧スレートは屋根材の表面部分に塗装がされています。
この塗装によって耐水性を高めています。
この塗装は経年劣化によって薄くなっていきますので、定期的に塗装メンテナンスが必要となります。
たいていは10年に一度ほどの期間で塗装しなおす必要があるのですが、スレートにひび割れがある、色が薄くなっている、表面が剥がれているというような症状が出ている場合にはすぐにメンテナンスが必要となります。

スレート屋根の劣化症状と修理方法について

スレート屋根は比較的安価で軽量、扱いやすいというメリットの多い屋根材ですが、劣化してくると早めのメンテナンスが必要となる屋根材でもあります。
そこでここではスレート屋根の劣化症状と修理方法について紹介していきます。

スレート屋根が割れている、破損している場合

スレート屋根が割れている、破損しているという際には見た目でもわかる劣化症状となります。
この場合、割れているのが少ない場合は部分補修やそのスレート屋根だけを交換することで補修することができますが、多くのスレート屋根が割れている、破損しているという場合には大規模補修工事が必要となる場合もあります。

スレート屋根の塗装が薄くなっている、剥がれている場合

スレート屋根の表面は塗装がされています。
この塗膜が経年劣化によって薄くなる、剥がれているという状態になるとスレート屋根本体が雨水を吸い込んでしまう状態になりますので、早めの塗装メンテナンスが必要となります。
点検時に塗膜が薄いという場合はもちろんですし、基本的には10年を目安にメンテナンスを計画しておくと良いでしょう。

スレート屋根が反ってくる場合

スレート屋根は強い太陽光を浴び続けることによって反ってくるということがあります。
スレート屋根が反ってくると割れる、破損するということが多くあるため、交換する必要があります。
反っているのが一枚だけであればその部分だけを交換することで補修できますが、多くのスレート屋根が反っている、破損しているという場合には大規模な補修工事が必要となります。
この場合、すべての屋根材を入れ替える「葺き替え工事」か、既存の屋根の上に新しい屋根を作っていく「カバー工法」などを行うことになります。

▷京都の屋根職人が解説!「屋根修理」と「屋根塗装」どちらがお得?

▷屋根修理におけるカバー工法と葺き替え工事の違い

まとめ

スレート屋根は日本全国で多く使用されている屋根材であり、もちろん京都市でも幅広く使用されています。
軽い、安い、扱いやすいといったメリットがあるため利用されているのですが、割れやすい、破損しやすい、定期的に塗装メンテナンスが必要といったデメリットもあります。
また、2000年前後までに設置されたスレート屋根にはアスベストが含まれている可能性もあるため、補修工事を行う際には注意が必要です。