屋根の軽量化とは?京都市のまちの匠・ぷらすで補助金が受けられる?

屋根の軽量化とは?京都市のまちの匠・ぷらすで補助金が受けられる?

2024/06/24

最近リフォームを行う際に注目されているのが「屋根の軽量化」です。
ではどういった目的で屋根の軽量化が行われているのでしょうか。
また、こうした大規模な工事は高額な費用がかかってくることが多いのですが、京都市の「まちの匠・ぷらす」で補助金を受けることができるのでしょうか。
ここでは屋根の軽量化と京都市の補助金について紹介していきたいと思います。

屋根の軽量化は耐震性能に関係している

屋根の軽量化は「耐震補強工事」で行われることが多いものです。
耐震工事、耐震リフォームといった工事を行って地震に備える際に屋根の軽量化を行うのです。
そこでまず屋根の軽量化がどうして耐震性能に関係するのかについて紹介していきます。

屋根が重いと地震の際の危険性が高くなる

地震の際には基本的に屋根の重量が重いほど危険は高くなることとなります。
建物自体を支える、屋根の重さを支えるというのは柱、壁、基礎部分といった構造体と言われる部分となっています。
そのため、建物の上部分にある屋根が重いとそれらの部位に大きな負担がかかることとなります。
また、地震があった際には建物の上部である屋根部分が大きく揺れることとなります。
物理の関係で、基本的には動く部分が重いほど支える部位に大きな力がかかることとなりますし、屋根が重いほど屋根の遠心力も大きくなるために揺れ幅が大きくなっていくこととなります。
屋根が大きく揺れるということは柱や壁にも大きな負担がかかることとなるのです。

実際に過去に「関東大震災」「阪神淡路大震災」の際には瓦屋根、土葺き工法の屋根が重い建物の被害が多く出ました。
屋根部分の落下や建物の崩壊が多かったのは屋根が重い建物だったのです。
こういった大きな被害が出た以降は土葺き工法などは急激に数を減らしていきました。

屋根は軽ければ良いというわけではない

基本的には屋根を軽量化することによって耐震性を高めることにつながるのですが、単純に「屋根が軽ければ良い」というわけではありません。
重要なのは「建物が倒壊しない必要耐力」「建物自体の保有耐力」「屋根の重さ」とのバランスなのです。
この建物が持つ「必要耐力」と「保有する耐力」については「耐震診断」を行うことによって数値化して確認できます。
例えば屋根を軽量化することで地震が起きた際の建物に対する水平方向に揺れ動く力を減少させることが可能となります。
これは建物の「必要耐力」を減らすということになるのです。
この建物の「必要耐力」よりも「保有する耐力」のほうが高い場合は地震によって建物が倒壊してしまうという可能性が低いということになります。
このように単純に屋根を軽くするだけで良いというのではなく、建物を総合的なバランスで見ていくことが重要なのです。

屋根の重さと耐震性を知るためには耐震診断が良い

建物に使われている屋根材が瓦屋根のような重い屋根の場合は金属屋根などの軽い屋根にすることで耐震性を高めることは期待できますが、現在定められている耐震基準を満たしているかどうか、必要耐力や保有体力とのバランスがどれくらいかについては不明なことが多くあります。
それら建物の耐震性、住宅のバランスを診断することができるのが耐震診断です。
耐震診断を実施することで建物の耐震性能がわかるだけでなく、性能を向上させるために必要な補修、工事、メンテナンスなど何を行えば良いのかということをはっきりさせることができます。
住宅がどの程度の耐震性能を持っているのか、どういった耐震補強が必要となるのかが把握できるのが耐震診断なのです。

基本的には屋根は軽いほうが耐震性能は高いことが多い

耐震性能が日本で注目されてきたのは大規模な地震が起こった際です。
耐震基準の目安とされているのは建築基準法で定められている「耐震等級」であり、1~3の3段階の等級で表示されています。
この耐震基準を満たしている一般住宅の割合は熊本大地震が起きる前の段階で全国平均が82%あったことに対して熊本では76%しかなかったことがわかっています。
このように耐震基準を満たしている建物が少なかったということが熊本大震災の時に倒壊した住宅が多かったことに関係していると言えるでしょう。

こうした耐震性能、耐震等級を考える際にもっとも重要となるのが屋根の重さなのです。
屋根の重さの影響が強く出たのが「1995年の阪神淡路大地震」と「2004年の新潟県中越地震」だと言われています。
建物の倒壊が原因となって発生した窒息や圧死の犠牲者は神戸が「8割以上」だったのに対して新潟では「2割」だったとされています。
これはもともと豪雪地帯だった新潟では屋根が軽量化されていることが多く、それが住宅の倒壊が少なかったことに影響しているとされているのです。
神戸では雪が降ることは少なく、昔ながらの瓦屋根の家が多かったため「重い屋根」が多かったのです。
こうした屋根の重さが地震の際の被害の大きさに影響しているのです。

屋根材を金属屋根などに変更して屋根を軽量化することのメリットとは

耐震工事において屋根材を軽量化する際にはガルバリウム鋼板、エスジーエル鋼板などの金属屋根が多く使われています。
ここでは屋根材を金属屋根に変更する際のメリットについて順に紹介していきます。

高い防音性、断熱性を持っている

ガルバリウム鋼板などの金属屋根は高い「防音性」「断熱性」を持っています。
そのため、大雨の時でも雨音を吸収してくれるので比較的静かです。
これは表面をコーティングされているフッ素加工部分の性能によるものです。
また、遮熱フッ素コーティングされているために強い太陽光を受けてもその熱を屋内に通すことなく防いでくれます。
以前のトタン屋根のような金属屋根は断熱性が弱く、すぐに屋根自体が熱くなるというデメリットがありましたが、近年の金属屋根はそういった点が大幅に改善されているのです。
こうして高温、騒音から家を保護できるのが金属屋根なのです。

軽量化することで耐震性を大幅に強化できる

金属屋根は屋根材の中でも特に軽量であり、瓦屋根の5分の1~10分の1ほどの重さです。
スレート屋根と比べても圧倒的に軽いという特徴があります。
そのため大幅に屋根を軽量化することができ、建物の壁や柱にかかる負担を減らすことができます。
こうして地震の際に建物が揺れる幅を小さくすることができ、耐震性能を向上させることができるのです。

強風や火事にも強い

「屋根が軽いと強風の時に落下するか不安」ということを考える人がいるかもしれませんが、金属屋根を施工する際には強風による圧、巻き上げ風力などに対しても対応できる固定がされています。
ビスなどを使って固定がなされることで長期間にわたって高い固定力を誇っています。
そのため強風にもしっかりと対応できるようになっています。
また、ガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板は法定不燃物を使用して作られています。
耐火構造屋根としても認可されている屋根材ですので、火災にも強い屋根材となっているのです。

▷「立平葺き」と「スーパーガルテクト」それぞれのメリット・デメリットを比較

まちの匠・ぷらすで受けられる補助金とは

京都市では住宅の耐震化を促進していくため、安心・安全で災害に強い歴史都市京都の実現を目指すため、所有者による耐震化を支援しています。
ここでは、まちの匠・ぷらすで受けることができる補助金について紹介していきます。

京町家・木造住宅 耐震・防火改修支援事業

支援事業名:京町家・木造住宅 耐震・防火改修支援事業

対象:昭和56年以前に着工された木造住宅等
京都市内にある、木造住宅または京町家(一戸建て住宅、長屋または共同住宅)
※居住部分の床面積が延べ面積の2分の1以上の併用住宅を含む
木造住宅の場合
 ・昭和56年(1981年)5月31日以前に着工
 ・3階建て以下かつ在来工法または枠組壁工法で建てられたもの
京町家の場合
・昭和25年(1950年)11月22日以前に着工
 ・2階建て以下かつ伝統構法で建てられたもの

補助金限度額:
本格耐震改修
・京町家  最大300万円
 ・木造住宅 最大200万円
簡易耐震改修
・京町家  最大60万円
 ・木造住宅 最大40万円

申請場所:
京安心すまいセンターに持参もしくは郵送
住所・・・〒600-8127
京都市下京区西木屋町通上ノ口上る梅湊町83番地の1(河原町五条下る東側)
「ひと・まち交流館 京都」地下1階
電話番号・・・075-744-1631(耐震・省エネ担当)
FAX・・・075-744-1637
受付時間・・・午前9時30分~午後5時
休館日・・・水曜日・祝日・第3火曜日・年末年始(12月29日~1月4日)

▷公式HPはコチラ

その他に利用できる制度

京都市では「補助金の代理受領制度」が用意されており、事業実施者(申請者との業務委託契約又は工事請負契約により事業を実施した方)が申請者の委任を受け、補助金の受領を代理で行うことが可能となっています。
実際には準備しなければならない改修費用が、工事費等と補助金の差額分でよくなるために初期費用の負担が軽減されることとなります。

また、建物を現行の耐震基準に適合する耐震改修を行った際には所得税の特別控除と固定資産税の減額措置の2つの税制優遇措置が利用できることとなります。
どれくらい減税されるかについては建物の状態や収入などの条件によって変わってくるため具体的には担当部署に確認をするのが良いでしょう。

まとめ

京都市は古くから都があったために伝統的な建物が多い町でもあります。
そのため、耐震改修が必要となる建物が多いのですが、こういった耐震改修工事には高額な費用がかかる場合があります。
そうした際には条件を満たしていれば、まちの匠・ぷらすで補助金を受け取ることができる可能性があります。
利用できるかどうかを担当部署に確認した上で、利用できる場合はぜひ利用していきましょう。
京都市にて屋根修理をご検討の方は、是非、ご相談下さい。

▷京都市右京区蜂ヶ岡にて雨漏り修理

▷京都市西京区にて天井からの雨漏り修理〈瓦屋根葺き替え〉

▷京都市中京区にて雨漏り修理

▷京都市北区にて天窓からの雨漏り修理