京都市の気候にあった屋根材とは?人気の屋根材もご紹介します

京都市の気候にあった屋根材とは?人気の屋根材もご紹介します

2024/08/30

昔の日本では屋根材と言えば瓦屋根が多く使われていましたが、近年はスレート屋根や金属屋根が増えてきています。
どの屋根材を使うかは建物の造りや家主の意向によって決まっていきます。
ただ、その地域の気候に合った屋根材を選ぶことで快適に暮らすことができるようになるともいえます。
そこでここでは京都市の気候と京都市の気候に合った屋根材について紹介していきたいと思います。

京都市の気候とは

 

京都は南北に長く、周囲が山地であるため気候も複雑な気候となっています。
まずはその気候がどういったものかについて紹介していきます。

京都府全体の気候の概要について

京都の年間平均降水量は約1500~1600mmとなっており、全体的には少ないともいえます。
ただ6月ごろの梅雨の時期には約230mmの降水量があり、まとまった雨が降ります。
年平均気温は15~16℃ほどですが、周囲が山地の盆地でもあり、夏はとにかく蒸し暑く冬は底冷えがするほど冷え込むため寒暖の差がかなり大きい気候と言えます。
近くの奈良盆地と似た気候ですが、奈良より北に位置しているため、さらに厳しい冷え込みがあります。

京都北部の気候について

京都は南北に長く、その中央あたりに兵庫県から連なる丹波山地があります。
この丹波山地のために北部と南部で違った気候となっています。
北部は日本海に近く、夏は蒸し暑くて短い、天気もからりと晴れることは少なく、曇りの日が多くなっています。
冬はとにかく寒く、風も強いという気候となっています。

京都南部の気候について

京都の南部は夏と冬の気温差が特に大きく、降水量が少なくて日照時間が長い気候をしています。
その中でも京都市の南部は観光客が増加しており、建物の増加と合わせて猛暑になることが多くなっています。

それぞれの屋根材の特徴について

 

屋根材にはそれぞれにメリットとデメリットがありますので、どれが正しいというわけではありません。
気候に合った屋根材を選ぶ際にはそういった特徴を把握しておくことが重要となります。
ここではそれぞれの屋根材の特徴について紹介していきます。

化粧スレートについて

施工前屋根

 

化粧スレートとは日本で幅広く普及している屋根材であり、セメントを原料として作られる板状の屋根材です。
有名な製品名を使って「コロニアル」「カラーベスト」と呼ばれることもあります。
まずメリットとしては、

・瓦屋根よりも軽い
・価格が安価である
・デザイン、カラーバリエーションが豊富である
・扱いやすいので多くの業者が取り扱っている

といったことがあります。
やはり安くて扱いやすいというのが大きなメリットとなっていると言えます。
また、カラーバリエーションが豊富なので周囲の風景や建物の雰囲気に合わせやすいということも扱いやすい特徴と言えます。

化粧スレートのデメリットとしては、

・割れやすい、破損しやすい
・表面に定期的に塗装を行う必要がある
・2004年より前に製造されたものにはアスベストが含まれている可能性がある。

薄い板状の屋根材ですので物理的な力で割れてしまうということがあります。
また、2004年より以前に製造された製品にはアスベストが含まれているという危険性があります。
アスベストは発がん性の有害物質ですので、撤去する際にも専門の資格を持った人が行う必要があります。
2004年以降にはアスベストが含まれない製品が製造されていきましたが、この時急いでそういった製品を製造したこともあって、劣化しやすい製品も多く作られていたので注意が必要となっています。
さらに定期的に表面に塗装メンテナンスを行う必要があるというのも特徴だと言えます。

金属屋根について

近年急激にシェアが増えているのがこの金属屋根です。
昔は金属屋根としてはトタン屋根が主流でした。
ただ、トタン屋根はとにかく安い、軽い、というメリットがあるために戦後数多く使用されたのですが、錆びやすい、防音性や断熱性が低い、耐用年数が短いといったデメリットが多く、最近ではあまり使われていません。
近年幅広く使用されている金属屋根としては「ガルバリウム鋼板」があります。
ここではガルバリウム鋼板を主としたメリットやデメリットを紹介していきます。

まずメリットとしては、
・屋根材の中でもとにかく軽量である
・防水性、防火性に優れている
・軽量のためにカバー工法にも対応できる
といったことがあります。

デメリットとしては、
・表面に傷がつきやすい
・断熱性や防音性が低い
・定期的に塗装が必要である
ということがあります。

ガルバリウム鋼板のもっともメリットと言われているのが「軽い」ということです。
近年、建物の耐震性能を高めるために必要とされているのが屋根の軽量化です。
屋根が重いと地震があった時に遠心力によって大きく揺れることとなります。
柱や壁などにも大きな負担がかかることとなります。
屋根が軽ければ建物にかかる負担も少なくなりますし、揺れ幅も小さくなります。
そうした耐震補強工事を行う際に屋根の軽量化を意識するために軽量の金属屋根に葺き替えることが増えています。
また、もともと金属屋根はその特性から断熱性や防音性が低いということがあるのですが、最近は金属屋根の裏側に断熱材を組み合わせた製品なども販売されており、デメリットも減ってきています。

さらに最近ではガルバリウム鋼板の性能を高めた「エスジーエル鋼板」の製品も販売されています。
これはガルバリウム鋼板の耐久性を向上させたもので、これからどんどん普及していくことが予想されています。

粘土瓦、陶器瓦について

 

日本では古くから瓦屋根が多く使われてきました。
現在もまだまだ多く使われている屋根材ですが、大きく分けると「粘土瓦」「セメント瓦」に分かれています。
特徴としては似ている部分もありますが、違っている部分もありますのでここでは分けて紹介していきます。

まず粘土瓦はその名前の通りに粘土を瓦の形にして焼いて完成させるものです。
そのため「陶器瓦」と呼ばれることがあります。

この粘土瓦のメリットとしては、
・耐用年数がとにかく長い
・断熱性、防音性が高い
・結露、凍結などにも強い
というものがあります。

デメリットとしては、
・屋根材としての費用が高い
・扱いにくいためにすべての業者が取り扱っているわけではない
・とにかく重い
ということがあります。

断熱性や防音性が高いというだけでなく、他の屋根材よりも圧倒的に耐用年数が長いというメリットがあります。
ただ、瓦がまだ使える状態であっても瓦を支えている漆喰が劣化するということがありますのでそちらのメンテナンスは必要となります。
しかし最大のデメリットとして「重い」ということがあります。
耐震性能を考えた場合、非常に危険ということもあって最近は瓦屋根のメンテナンス時に金属屋根などに葺き替えをすることも多くなっています。
また、もともとの屋根が重いためにカバー工法を行うにも適していません。

▷屋根修理におけるカバー工法と葺き替え工事の違い

セメント瓦、コンクリート瓦について

こちらの瓦はセメントやコンクリートを材料として製造されている瓦です。
メリットは粘土瓦に似たものがあるのですが、粘土瓦よりも安いという特徴があります。
ただ、

・粘土瓦よりは耐用年数が短い
・重い
・表面に塗装をする必要がある
といったことがあります。

粘土瓦は焼いているために表面を塗装する必要はないのですが、セメント瓦は表面に塗装をしなければいけません。
セメント本体は水分に弱いということがありますので、定期的に塗装メンテナンスを行う必要があります。
デメリットが多くあることから最近は使用されることが減ってきています。

アスファルトシングルについて

 

こちらはアスファルトにガラス繊維を染み込ませて表面に石を吹き付けたシート状の屋根材です。
こちらのメリットとしては、

・非常に軽量である
・割れる、破損するということがない
・錆びる、腐食するということがない
・形状が複雑な屋根でも使用することができる
というものがあります。

デメリットとしては、
・強風には弱い
・カビ、苔が発生しやすい
・取り扱いにくいのですべての業者が扱っているわけではない
・塗料は水性のものしか使うことができない

アスファルトシングルはおしゃれな感じもあるので、外観を気にする人にもおすすめの屋根材ではありますが、あまり知名度が高い屋根材ではなく扱いにくいということもあってどの業者でも扱っているというわけではありません。
また、シート状の屋根材ということもあって台風などの強風にも非常に弱いというのもデメリットとなっています。

京都市の気候に合った屋根材とは

京都市はとにかく気温差が大きいという地域でもあります。
また、近年はもともとの盆地性の気候に加えて建物の増加、観光客の増加などもあって夏の暑さが厳しい地域となっています。
京都市の真夏の屋根は表面温度が80℃を超えるようなこともあるため、京都市では「断熱性」「遮熱性」が求められることとなります。
そういった点を考えると屋根材の下部分に空気層を作ることで熱を遮断してしまうという方法があります。
スレート屋根や金属屋根には基本的に空気層を作ることはありませんので、波型の瓦屋根を使うという方法があります。
波の部分の下が空気層となるのです。
京都には瓦屋根の建物が多いのはそうしたことも関係していると言えます。

また、瓦屋根ではなく金属屋根を使用する場合は断熱材を組み合わせて使用するというのがおすすめです。
夏は暑く、冬は寒い京都ですので断熱材は必須と言えるでしょう。

まとめ

京都市は夏はとことん暑く、冬は寒いためそれに合わせて屋根材を選ぶ必要があります。
特に夏の暑さが厳しいので、断熱性、遮熱性を高めるような屋根材を選ぶともっとも効率的だと言えるでしょう。
断熱材を組み合わせた金属屋根、波型の瓦屋根などが気候には合っていると言えます。

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