屋根や外壁材として人気な「ガルバリウム鋼板」とは?

屋根や外壁材として人気な「ガルバリウム鋼板」とは?

2024/08/05

近年、屋根材、外壁材、板金素材として多く使われるようになってきている素材として「ガルバリウム鋼板」が人気となっています。
この素材は「軽い」「丈夫」という特徴が強いため、広く使われてきているのです。
そこでここではガルバリウム鋼板の概要、特徴、メリット、デメリットなどについて紹介していきたいと思います。

ガルバリウム鋼板とは

とにかく幅広く利用されているガルバリウム鋼板にはわかりやすい特徴があります。
ここではガルバリウム鋼板の概要や特徴について紹介していきます。

ガルバリウム鋼板の概要について

「ガルバリウム鋼板」とは日本で開発されて販売され始めたものではありません。
もともとはアメリカの企業である「ベスレヘムスチール社」で開発されたものです。
その製品の優秀さから日本でも輸入販売がなされていったのですが、「ガルバリウム鋼板」という名称については「日本製鉄株式会社(NIPPON STEEL)」の登録商標となっています。
そのため、他の建築メーカーがガルバリウム鋼板を使って屋根材や外壁材などの製品を作る際には「ガルバリウム鋼板」という名前、名称を使うことができません。
そういった理由によって製品の名前を聞いた感じがガルバリウム鋼板に似たもの、連想させるような名前を製品名として付けることが多くなっています。

ガルバリウム鋼板の特徴とは

ガルバリウム鋼板の「鋼板」というのは板状の鋼のことを意味しています。
鋼は鉄よりも「強い」「丈夫」「加工しやすい」というメリットがあるため、屋根材や外壁材などの建築資材としても多く使われています。
板のように薄く加工してもメリットが失われずに利用できるために使いやすいものとなっているのですが、鋼という素材ですのでそのまま使用したのでは「錆び」「腐食」に弱いという特徴が出てしまいます。
鋼板をそのままの形で屋根材として使用すると、屋根は常に直接雨に打たれることとなるために「雨水」を受けることとなってダメージを受け、錆びなどにつながることになります。
そうして錆びてしまったりしないために、鋼板が錆びたり腐食したりするのを防ぐ目的で鋼板の表面に加工処理を行います。
鋼板の表面をメッキ加工することで金属塗膜を行い、鋼板の素材を守るのです。
鋼板に何かしらの表面加工したものを「表面処理鋼板」と呼んでいます。
ガルバリウム鋼板はこの表面処理鋼板が行われているもので、加工されているメッキの割合が、
・アルミニウム55%
・亜鉛43.4%
・シリコン1.6%
となっています。
この成分割合でメッキ加工したものがガルバリウム鋼板である要素となります。

ガルバリウム鋼板のメリットとは

とにかく利用する際のメリットが多いために広く普及しているガルバリウム鋼板です。
ここではそういったメリットを順に紹介していきます。

ガルバリウム鋼板は金属屋根ではあるが錆びや腐食に強い

ガルバリウム鋼板は金属屋根ではありますが、「錆び」「腐食」に強いという特徴があります。
もともと金属屋根は金属であるために錆びや腐食には弱いという特徴があったのですが、ガルバリウム鋼板は「メッキ鋼板」であり、板の表面をメッキ加工されていることでその弱点を防いでいます。
ガルバリウム鋼板の表面には亜鉛43.4%、アルミニウム55%、シリコン1.6%の合金がメッキ加工されています。
アルミニウムはステンレスなどと同様に空気中で酸化被膜を作り出すことができます。
酸化被膜とは金属が酸化反応を起こした際に金属の表面に形成される膜のことであり、この膜が錆びの発生や腐食を防いでくれる役割を果たしています。
また、メッキに含まれている亜鉛には「犠牲防食機能」があります。
犠牲防食機能とは、もし表面のメッキが剥げて中の鉄や鋼が外部に露出してしまったとしても亜鉛が優先して腐食されることで中の鉄や鋼を守るという機能です。
昔、金属屋根としては錆びにくい屋根材としてトタン屋根が使われていましたが、これらの機能によってガルバリウム鋼板はトタン屋根の4倍錆びにくいとされています。

防カビ性、防汚性が高い

錆びや腐食に強いだけでなく、金属屋根であるガルバリウム鋼板は屋根材自体が雨水を吸収することがありません。
屋根材が雨水を吸収しないので、カビや錆びが発生することが少ない屋根材と言えます。
スレート屋根やモルタル外壁などは、スレートやモルタルそのものが水分を吸収するという特性があるため劣化してくると塗膜が薄くなり、水分を多く含むことによってコケ、カビなどが発生しやすくなります。
しかしガルバリウム鋼板は水分を吸収しないため、コケ、カビなどが発生しにくく、汚れにくいというメリットがあるのです。
鋼板の表面が汚れにくいために、熱の反射性などが維持しやすくなるというメリットがあります。
こうした鋼板は表面が汚れていると熱の反射性が低下するということがあるのですが、それも防ぐ効果があるのです。

軽量で、耐震性を高めることができる

近年、「耐震」「耐震補強」「耐震工事」といった言葉を聞くことが増えています。
これは屋根が重いとそれだけ地震の際に建物の揺れ幅が大きくなり、軽いほど揺れを抑えることができるという意味も含まれており、耐震工事と言えば屋根を軽くする工事と判断される場合もあります。
日本で昔から使われている屋根材としては瓦屋根があります。
この瓦屋根はかなり重量があるために屋根自体が重くなってしまい、地震の際などは屋根の揺れ幅が大きくなってしまうことで建物の柱や壁などに大きな負担がかかってしまいます。
そのため屋根が重いと柱や外壁、屋根などの倒壊などが起こりやすくなると言われていますが、ガルバリウム鋼板のような軽い金属屋根を使うことで屋根を軽量化できるというメリットがあるのです。
ガルバリウム鋼板の屋根材の重さは、スレート屋根の5分の1、瓦屋根の10分の1ほどの重さとされており、耐震性能を高めるために瓦屋根などの重い屋根材から金属屋根に交換するということも多くなっています。
この「軽量」であるというのはガルバリウム鋼板の大きなメリットと言えます。
耐震工事でガルバリウム鋼板の屋根材に葺き替えることが多いのもそれが理由と言えるでしょう。

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熱反射性に優れていて、断熱性も低く室内の温度上昇を防ぐことができる

ガルバリウム鋼板はメッキ成分であるアルミニウムの容積比が高くなっているために、ほかの一般的なメッキ鋼板よりも高い熱反射性があるとされています。
屋根は太陽光を常に受ける位置にあるため、その影響で屋根材自体が高温になりやすくなります。
屋根材が高温になることで、屋根の内部、室内の温度も上がりやすくなるのですが、ガルバリウム鋼板は屋根の表面温度が上がるのを抑制してくれるために、室内の温度上昇についても防ぐことができるのです。
本来、金属屋根は熱伝導率が高く、断熱性は低いのですがガルバリウム鋼板は表面のメッキ加工によって熱伝導率を抑えることができるのです。

耐久性が高い、ひび割れしにくい

セメント系、モルタル系の建材は経年劣化などの理由によって「ひび割れ」が起こりやすいという特徴があります。
弱っているところに地震や衝撃があるとひび割れが起きてしまい、ひび割れが起こるとそのひび割れた場所から雨水が浸入したり、内部の木材などが腐食してしまうということが起きます。
ガルバリウム鋼板は金属製であるために、ひび割れするといった心配がないメリットがあります。
また、屋根材や外壁材にとってトラブルにつながるものとして「凍害」があります。
これは屋根材や外壁材といった建材が水分を吸収し、その水分が内部で凍結することで建材が膨張してしまい、建材を破損させてしまうという被害です。
ガルバリウム鋼板は金属製ですので、水分を吸収することがないため凍害にも強いというメリットがあります。

ガルバリウム鋼板のデメリット、使用する際の注意点とは

メリットが多いことで幅広く利用されてきているガルバリウム鋼板ですが、屋根材や外壁材として利用する際にはいくつかのデメリットや注意点もあります。
ここではそれらのデメリットや注意点について順に紹介していきます。

表面の加工は傷には弱い

ガルバリウム鋼板は耐久性が高く耐用年数が長い素材であり、製品の表面もメッキ加工されているために基本的には傷つきにくいという特徴があります。
ただ、製品の表面がメッキ加工されているということは、その表面のメッキ部分に傷がついてしまうとメッキが剥がれてしまう可能性があります。
表面の部分に傷がついてしまうと、その部分からメッキが剥がれてしまう、その隙間から水分が内部に浸入したりして「錆び」の原因となってしまいます。
特にガルバリウム鋼板を屋根材とした金属屋根を使用している場合は台風などの強風が吹いている時に飛来物が屋根に当たるということがあり、それが原因で傷がついてしまうことがあります。
強風が吹いた後などはガルバリウム鋼板の表面に傷がついていないかどうかを確認しておくと安心です。
発見が早ければ、傷がついている部分だけ補修することで解決する場合があります。
傷が小さければその部分を塗装しなおすことで傷を塞ぐことができるからです。
ただ、屋根に上っての作業は危険を伴うため、こういった点検も業者に依頼するのが確実です。

断熱性は決して高くはない

メリットの一つとして「熱反射性が高い」ということを挙げましたが、やはりガルバリウム鋼板は金属屋根ということもあって、製品そのものの「熱伝導率は高い」という特徴もあります。
ガルバリウム鋼板自体が高温になってしまうと断熱性が低いために熱を建物内部に伝えてしまい、建物自体が暑くなってしまうという可能性はあります。
それを防ぐ方法としてガルバリウム鋼板の裏側に断熱材を張り付けてあるような製品が販売されています。
こうした製品を使用することでガルバリウム鋼板の断熱性を高めることができるでしょう。

まとめ

近年ガルバリウム鋼板は屋根材、外壁材、板金など幅広く利用されている素材です。
とにかく軽くて耐久性が高く、コストパフォーマンスが高いという特徴があるために耐震工事でも導入されることが増えています。
屋根の軽量化を考えている場合はガルバリウム鋼板の導入を考えてみるのも良いでしょう。