コーキングだけの雨漏り修理は要注意!再発防止の掟とは?
2024/09/19
コーキングとは屋根や外壁で隙間を埋めるための部材であり、幅広く利用される重要なものです。
このコーキングを使って雨漏りが発生している隙間を埋めて修理をするという方法があるのですが、この方法は危険な方法でもあります。
そこでここではコーキングを使って雨漏りを補修するという方法や再発防止する注意点について紹介していきたいと思います。
コーキングとは何なのか
建物の屋根や外壁などで幅広く使用されているコーキングですが、別名で「シーリング」と呼ばれることもあります。
「コーキング」という名前はもともとは英語の「caulking」という単語から呼ばれ始めたもので日本語の意味としては、隙間を塞ぐ、詰める、接着するという意味があります。
「シーリング」は英語の「sealing」という単語からきており、塞ぐ、密閉する、封印するという日本語の意味があります。
多少のニュアンスの違いはありますが、一般的には同じものとして扱われることが多くなっています。
業者でもそれぞれの呼び名で利用していますが、特に大きな違いはありません。
屋根や外壁だけでなく、建物内部においてもキッチン回りや浴槽と壁部分の隙間部分、窓のサッシ、コンセントの周囲などさまざまな場所で使用されています。
基本的には「水の侵入を防ぐ」という使われ方が多くなっており、隙間を塞いで水を内部に侵入させないというのが役割として大きなものとなっています。
そのため色々な場所で使われているのですが、特に水回りの近くでよく使われています。
コーキングすることによって内部への水の侵入を防ぐことで、雨漏り、木材の腐食を防ぐ、シロアリの発生を防ぐという効果が期待できます。
屋根工事業者や外壁工事業者は当然のように使用するコーキング材ですが、これはホームセンターなどでも普通に一般販売されています。
プロが使用する高性能なものについては高額になりますが、数百円程度の安価なものもあります。
コーキングの製品の種類についても「シリコン」「変成シリコン」「ポリウレタン」といった素材によって違いがあるため用途に応じて使い分ける必要があります。
ただ、一般の人でも普通に購入することはできるのですが、コーキングは施工方法を間違えるとトラブルにつながることも多いため、よほどの知識がない限りは使うのはおすすめしません。
コーキングで補修したつもりが余計に状況が悪化してしまったということもあるのです。
コーキングはどういった使い方をするのか
コーキングは多くの場所で使用される部材であり、さまざまな役割があります。
ここではそれらの中からよく使用されるものを紹介していきます。
建材、部材同士の隙間を埋める
コーキングが果たしている大きな役割の1つに「建材や部材同士の隙間を埋める」ということがあります。
屋根と外壁、外壁と窓サッシのように違う種類の建材を組み合わせて使う場合、並べて使う場合にはどうしても部材同士に隙間や溝ができてしまいます。
こうしてできてしまった隙間についてはそのまま放置しておくと、その隙間部分から雨水やゴミ、ホコリなどが内部に入っていきやすく、雨漏りの原因となったり建物の寿命を縮めることにつながります。
特に隙間から雨水が内部へと侵入した場合は柱などの木材の腐食やシロアリの発生などにつながりやすいため注意しなければなりません。
もちろん水が内部へと侵入していくということは雨漏りの原因にもなります。
こうした不要な隙間を塞ぐためにコーキングを行うのです。
ひび割れを塞ぐ、防止する、埋めて補修する
硬い素材の外壁などの場合は太陽光による温度の変化によってほんのわずかずつですが膨張や収縮を繰り返しています。
このように膨張したり収縮したりすることを熱膨張といいます。
基本的には金属は温度が上昇するとわずかに膨張し、温度が下がると少し収縮していきます。
普通は目で見てわからないほどのわずかな変化ですが、これを何度も繰り返すことによって細かいひび割れが起きたり隙間ができたりするのです。
そのため、硬い素材の外壁をぴったりとくっつけて設置してしまうと膨張したときに破損してしまうことがありますし、収縮した時には隙間ができてしまうこととなります。
それを防ぐために外壁同士のつなぎ目などにコーキング材を打ち込んでおくことで、そのコーキングがクッションのような緩衝材となって外壁が膨張や収縮を繰り返してもコーキング部分がその衝撃を吸収、緩和することが可能となるのです。
コーキングが弾力を持って衝撃を和らげることによって外壁がひび割れが起きるのを防ぐことができるのです。
また、すでにできてしまったひび割れについても小さいひび割れであればコーキングを打ち込んで補修するということも可能です。
コーキングによる補修によって雨漏りを防ぐことができる場合とは
コーキングを行うことによって雨漏りを防ぐことができるかどうか、ということについては結論から言えば「できる場所もあるができない場所もある」ということになります。
コーキングを使用することで雨漏りを防ぐことができる場所で適切な方法で施工すれば雨漏りを防ぐことができると言えます。
これを間違えてしまうとコーキングで補修したつもりになっているものの実際には補修できておらずに雨漏りが再発することにつながります。
そこでここではまずコーキングによって雨漏りを防ぐことができる場合を紹介していきます。
窓サッシ、庇、換気扇まわりなどが原因の雨漏りの場合
以前はサッシといえばアルミ製のものが多く、それより前は木製のものが使われていました。
アルミ製のものは経年劣化によって破損する、木製のものは腐食することがあるため定期的に補修メンテナンスが行われていたのですが、最近はサッシなどは樹脂製のものが増えてきたこともあって頻繁にメンテナンスをする必要がなくなってきています。
樹脂製のものは耐用年数が長く設定されているためです。
こうしてサッシ自体は耐用年数が長くなったことであまり劣化や破損することはなくなってきたのですが、その周囲を埋めているコーキングについては年数が経つにつれて当然劣化していきますので、それが雨漏りの原因となることがあるのです。
サッシ自体に問題がなく、その周囲のコーキングの劣化だけが雨漏りの原因なのであればコーキングを打ち直すことによって雨漏りを防ぐことができる場合があります。
コーキングは10年前後で劣化することが多いのですが、日当たりや雨の当たり方などによってはもっと短い期間で劣化することもあります。
これは窓サッシだけでなく、庇や換気扇についても同じことが言えます。
庇や換気扇についても素材やデザインの工夫によって耐用年数は長くなってきたのですが、それらの周囲に使われているコーキングについてはやはり一定の期間で劣化していきます。
こうした場所のコーキングの劣化については、コーキングを新しく打ち直すことによって雨漏りを防ぐことができる可能性があります。
サイディングボード外壁、ALC外壁の目地などからの雨漏りの場合
最近では一般的な住宅を建てる場合、昔よりも工期が短くなってきています。
これは建物の外壁に使用する素材としてサイディング外壁やALC外壁の使用が増加してきたためだとされています。
これらは建設現場で一から外壁すべてを作成するのではなく、別の工場などの場所であらかじめ板状に加工された外壁を作成し、建設現場に運んできて組み立てるというものです。
この方法によって現場では組み立てるだけで良くなったあために建設期間は短くなってきたのです。
ただ、こうした外壁材は硬い素材となっているため、あまりに隙間なく組み立ててしまうと地震があった際などにズレてしまう、衝撃が逃げることができずに外壁が破損してしまうということがあります。
また、熱膨張によって外壁が破損するということもあります。
そのため、外壁同士をピッタリと接着してしまうのではなく、わざと隙間を少し作り、その隙間にコーキングを打つことで緩衝材としていることがあるのです。
もちろんこれらのコーキングについても劣化していきますので、劣化がひどくなるとその隙間から雨水が浸入していくこととなります。
外壁部分が原因で雨漏りが発生しているという場合はこれが原因となっていることが多くあります。
こうした場合も劣化したコーキングを新しく打ち直すことによって雨漏りを防ぐことができると言えます。
コーキングによる補修では雨漏りを防ぐことができない場合、失敗する場合とは
雨漏りをコーキングすることで防ぐ、補修することができる場合もあるのですが、コーキングでは防ぐことができない雨漏りもありますし、すぐに再発してしまう場合もあります。
こういった場合はコーキング補修ではなく本格的な補修工事や交換工事が必要になるため注意が必要です。
例えば瓦屋根やスレート屋根が屋根材の周囲のコーキングの劣化ではなく、屋根材自体が劣化していたり破損している場合です。
小さい破損などであればコーキングで補修できそうですが、屋根材が破損しているとルーフィングなどの下地まで劣化しているということもあります。
こうなると屋根材をコーキング補修すれば良いというものではなく、下地の交換まで必要となるのです。
金属屋根が錆びている、腐食しているという場合にもコーキング補修をすることはできません。
屋根材を交換することが必要となります。
まとめ
コーキングは部材同士の隙間を埋める、小さいひび割れを埋めて補修するといった重要な役割を果たしています。
小さい破損であればコーキング補修できそうですが、実際には無理に補修してもすぐに雨漏りが再発してしまうということもあります。
また、10年程度で劣化することが多いため、定期的にメンテナンスを行うことが重要だと言えます。