京町家の屋根はなぜ雨漏りしやすい?構造から見る注意点

京町家の屋根はなぜ雨漏りしやすい?構造から見る注意点

2026/02/13

京町家の屋根は雨漏りしやすいと言われることがあります。
現代工法によりリフォームを終えている場合は、現代の一戸建てと比較して雨漏りが目立つということはありませんが、それでもいくつか注意すべき点があります。

土葺き工法の場合

土葺き工法とは、屋根に土を敷いて、その土の粘着力により、瓦を葺く工法です。
土葺き工法では、バラ板と呼ばれる杉の板で下地を作り、その上に杉皮を敷き詰めます。杉皮は今で言う防水紙(ルーフィング)の役割を果たしています。
そして、その上に土を敷いて瓦を葺きます。瓦は葺き土の粘着力により固定されている工法です。

昔の京町家の屋根は、土葺き工法で葺かれることが多かったですが、現在では、土葺き工法を採用することは殆どありません。

土葺き工法の屋根は雨漏りの原因になる?

京町家の屋根が、今でも土葺き工法で作られている場合は、現代の一戸建てと比較すると雨漏りしやすい状態になっています。
その原因を紹介します。

✅瓦がずれると雨漏りに直結しやすい

土葺き工法で使われる土は防水性能があるわけではありません。瓦がずれて雨水が浸入するようになると、葺き土が流出します。それによりさらに瓦のズレがひどくなり、ますます雨水が浸入しやすくなります。
そのため、瓦がずれると雨漏りに直結しやすいわけです。

✅杉皮の防水性能の限界

下葺き材である杉皮は、天然の防水素材としては優れていますが、現在の防水紙(ルーフィング)ほどの防水性能はありません。
瓦がずれて、葺き土が流出してしまうと、杉皮が剥き出しの状態になってしまいます。
杉皮だけで雨水を防ぐ能力には限界があるため、室内への雨漏りにつながりやすくなっています。

屋根が複雑な構造になっている場合

京町家の屋根は、切妻屋根になっていることが多いです。
切妻屋根自体は、シンプルな構造なので、屋根の形状の中では、雨漏りに対して強いです。
ただ、京町家は、うなぎの寝床と呼ばれるように細長い敷地に建てられており、間口が狭く奥行きの深い造りになっていることがあります。
もともとお店だった京町家であれば、お店部分の表屋と住居部分の母屋に分かれており、この二つの建物がつながっている状態になります。
この場合でも屋根は表屋と母屋が完全につながっているため、屋根と屋根のつなぎ目にいくつもの谷が形成される状態になります。
更に奥に坪庭がある場合は屋根が非常に複雑な形状になることもあります。
このように谷の部分がいくつも構成される造りになっている場合は、雨漏りが発生しやすくなります。

京町家の屋根の谷部分が雨漏りの原因となる理由とは?

屋根の谷とは、屋根と屋根がぶつかり合う部分にできるV字型のくぼみのことです。
瓦屋根でもこの部分には、谷樋という板金が設置されています。
樋という名前のとおり、屋根の軒先につけられている雨樋と同じ役割を果たすもので、屋根の谷に集まった雨水を屋根の軒先に流す役割を果たしています。
この谷部分が多いと雨漏りしやすくなります。
主な原因を紹介します。

経年劣化

谷樋は、金属でできています。最近の住宅であれば、ガルバリウム鋼板やステンレス製の谷樋が設置されていることが多いですが、古い京町家の場合は、銅製の谷樋が設置されていることがあります。
銅製の谷樋は、高耐久で長寿命ですが、経年劣化すると緑青というサビが生じます。
この錆が進行すると、やがて穴が開いてしまい、その隙間から雨水が浸入するようになります。
また、谷樋に歪みや破損が生じてしまうと、適切な排水ができなくなり、雨漏りしやすくなります。

ゴミや落ち葉が詰まる

谷樋は、屋根からの雨水が集まる場所ですが、同時にゴミや落ち葉もまとまりやすい場所です。
ゴミや落ち葉が谷樋部分に固まってしまい、雨水が流れにくい状態になると、ダムのように雨水が溜まってしまい、オーバーフローにより、屋根の隙間から雨水が浸入して、雨漏りにつながってしまいます。

京町家の屋根の雨漏りを防ぐには?

京町家の屋根の特徴を踏まえたうえで、雨漏りを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。

土葺き工法の場合

築100年といった古い京町家の場合は、現在でも土葺き工法で瓦屋根が葺かれていることがあります。
しかし、土葺き工法の瓦をそのまま残すことは現在ではメリットは少ないです。
土葺き工法では大量の土を屋根にのせるので、その分、屋根が重くなります。屋根が重い家は耐震面で不利になります。
また、土葺き工法で瓦を葺ける職人が減っているため、メンテナンスしにくいということもあります。

そのため、今でも土葺き工法で屋根が仕上げられている場合は、「引掛桟工法」に変更するべきです。

引掛桟工法では、構造用合板などで屋根の野地板をつくり、その上に防水紙(ルーフィング)を張り巡らします。
そして、桟木という瓦を引っ掛けるための部材を張り巡らして、そこに瓦を引っ掛けていきます。
杉皮よりも防水性の高い防水紙(ルーフィング)を利用するので、雨漏りのリスクが大きく減ります。

屋根が複雑な構造になっている場合

屋根が複雑な構造になっていて、谷部分が多い場合はどうしたらよいのでしょうか。
京町家のつくりをそのまま残すのであれば、複雑な屋根構造を変更する事はできないので、定期的にメンテナンスを行うことが雨漏りを防ぐための最善の方法になります。
メンテナンスで注意すべきことは次のようなことです。

谷樋に異常がないかチェックする。
谷樋のゴミや落ち葉を取り除く。

谷樋の金属が銅板であれば、サビて、歪んだり、穴が開くことがあるので、定期的に点検しましょう。
また、谷樋はゴミや落ち葉が集まりやすい場所なので、やはり、定期的にゴミや落ち葉を取り除いてやることが大切です。

京町家の瓦屋根のメンテナンスで注意すべき点

京町家の瓦屋根は、しっかりメンテナンスすれば、雨漏りの被害を防ぐことができます。メンテナンスを行う場合に注意すべき箇所は次のとおりです。

漆喰に異常はないか

京町家の瓦屋根では、棟瓦の下部に漆喰が埋められています。
棟瓦の下部には、三日月状の隙間が生じますが、この部分に漆喰を埋めることにより、雨水が浸入することを防いでいます。

この漆喰は寿命が15年から20年程度しかありません。寿命が来ると剥がれてしまいます。
そのため、15年から20年の頻度で、漆喰に異常がないか点検しましょう。
剥がれや割れ等が確認されたら、早めに漆喰の詰め直し工事を行うことが大切です。

棟瓦部分に歪みがないか

京町家の瓦屋根は、頂点に立派な棟瓦が積まれています。この棟瓦は、経年劣化により、歪みが生じやすい箇所です。
歪みが生じると、棟瓦に隙間ができて、雨水が浸入しやすくなります。
漆喰の点検の際にチェックしてもらい、歪みが生じている場合は、修理を依頼してください。

瓦の割れや欠けがないか

瓦は、屋根材の中では比較的頑丈な建材ですが、焼き物なので、割れてしまうことがあります。
台風などの強風の際に、物が飛来して割れた場合、これを放置すると、その隙間から雨水が浸入して雨漏りの原因になってしまいます。

瓦にズレが生じていないか

京町家の瓦屋根の場合、一部分の瓦を除き、瓦は屋根に置かれているだけの状態になっていることがあります。
この場合、地震や強風などの様々な要因により、瓦にズレが生じることがあります。
瓦がずれると、隙間が生じて雨水が浸入しやすくなるので、早めに修理しましょう。

水切り板金に異常がないか

京町家の瓦屋根には、板金が使われている箇所がいくつかあります。代表的なのは、谷樋ですが、それ以外にも、外壁と屋根がぶつかる外壁取り合い部分に水切り板金が使われていることがあります。
この部分は、谷樋と同様に錆びや歪みに注意が必要です。
異常があると、その部分から雨水が浸入して雨漏りにつながりやすいので、定期的に点検しましょう。

防水紙(ルーフィング)が劣化していないか

京町家の瓦屋根に限りませんが、屋根からの雨漏りの根本的な原因として、防水紙(ルーフィング)の劣化が挙げられます。
防水紙(ルーフィング)は、耐用年数が10年から20年程度と短いです。
瓦自体は、50年以上と寿命が長いですが、50年間全くメンテナンスしなくてよいというわけではなく、防水紙(ルーフィング)の張替えなどを定期的に行ってやる必要があります。
防水紙(ルーフィング)の寿命は、漆喰の寿命と同じくらいであることも多いため、上記までの瓦屋根の異常が確認されたときは、防水紙(ルーフィング)の張替えのタイミングということもできます。

まとめ

京町家の屋根は雨漏りしやすいと言われることがありますが、メンテナンスをしっかり行えば、雨漏り被害を防ぐことができます。
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京町家の屋根のことでお困りのことがあるならお気軽にご相談ください。ご相談いただければすぐに対応いたします。