「断熱材付き屋根」とは?スーパーガルテクト以外の選択肢も徹底比較
2025/10/15
断熱材付き屋根とは、断熱材と屋根材が一体化した建材のことです。
一般的な屋根材は、断熱材が一体化しているわけではありません。
例えば、瓦は、瓦だけでできていて、断熱材が裏打ちされているわけではありません。断熱性能の向上を目指すなら、屋根裏に断熱材を充填する方法を取るしかありません。
その点、屋根材に断熱材に裏打ちされていれば、屋根材だけでも、断熱性能を発揮できます。
断熱材付き屋根の代表例は、アイジー工業株式会社が販売しているアイジールーフ『スーパーガルテクト』という金属屋根です。
この記事では、スーパーガルテクトやその他のメーカーの
屋根材も紹介します。
アイジールーフ『スーパーガルテクト』とは?
アイジールーフ『スーパーガルテクト』は、アイジー工業株式会社が販売している金属屋根です。
金属屋根の素材の代表例と言えば、これまでは、ガルバリウム鋼板でしたが、スーパーガルテクトでは、次世代のガルバリウム鋼板を用いています。
主な特徴を見ていきましょう。
✅次世代のガルバリウム鋼板を用いている
スーパーガルテクトは、エスジーエル(SGL)と呼ばれる次世代のガルバリウム鋼板を用いています。
SGLとは、従来のガルバリウム鋼板のめっき組成である「アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%」から、亜鉛を2%減らして「マグネシウム2%」を添加したものです。
ガルバリウム鋼板よりも約3倍の耐食性がある上、切断面や傷部での腐食抑制効果が優れています。
アイジー工業株式会社では、「超高耐久ガルバ」と銘打って売り出されています。
上記の性質に加えて、一般的なガルバリウム鋼板よりも、めっきが厚い点も特徴です。
具体的には、一般的なガルバリウム鋼板では、メッキ付着量が120g/㎡(AZ120)であるところ、超高耐久ガルバでは、150g/㎡(AZ150)となっています。
こうしたことから海に近い地域でも錆に強く、海岸線から500メートル以遠であれば、穴あき25年保証を受けられる商品になっています。
✅断熱材が裏打ちされている
スーパーガルテクトには、「ポリイソシアヌレートフォーム」という断熱材が裏打ちされています。
かん合部分まで隙間なく断熱材が充填される構造になっているため、鋼板と野地板が接触して、熱が伝わるのを防ぐことができます。
また、ポリイソシアヌレートフォームは、⾃己消火性といい、被がついても表面が炭化して年少の拡大を防ぐ性能があります。難燃性に優れており、⾶び火性能認定を受けた建材です。
さらに、遮音性能にも優れています。
例えば、屋外で71dBの豪雨の音が響いているときでも、室内では、31dBの音まで軽減される効果があります。
✅初期塗装で遮熱塗料が塗られている
スーパーガルテクトは、金属面の塗装に遮熱性塗料が用いられています。
「スーパーガルテクト フッ素」には、遮熱性フッ素樹脂塗料
「スーパーガルテクト」には、遮熱性ポリエステル樹脂塗料
がそれぞれ用いられているので、赤外線を反射する能力が高く、鋼板の温度上昇を防ぐことができます。
通常塗装の鋼板と比較すると、約15℃の温度差が生じるとの実験結果が示されています。
✅他の屋根材に比べて軽量である
金属の屋根と言うと重いイメージがあるかもしれませんが、スーパーガルテクトの鋼板は0.35mmしかないため、非常に軽いのが特徴です。
1㎡あたり5.0kgしかなく、スレート屋根の約1/4、和瓦屋根の約1/10の重量に留まります。
屋根材が軽量なので、新築に使えば、耐震面で有利になります。
また、屋根カバー工法により施工することも可能です。
✅耐風性にも優れている
軽量な屋根材の場合は、台風などの強風を受けた際に、屋根が剥がれて飛ばされてしまうといった被害が懸念されます。
その点、スーパーガルテクトの強風実験では、最大風速65m/sでも飛散しないという結果が出ています。
✅令和4年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞」を受賞
こうしたスーパーガルテクトの開発について、令和4年度に、アイジー工業株式会社は、科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞」を受賞しています。
軽量で防水性や断熱性の高い金属横葺断熱屋根材の開発が評価されました。
他のメーカーの断熱材付き屋根
断熱材付き屋根を発売しているのは、アイジー工業株式会社だけではありません。他のメーカーでも、断熱材付き屋根を販売しているので代表的な商品を紹介します。
金属製屋根材 センタールーフ『超高耐久 横暖ルーフ』
「ニチハ株式会社」が販売している断熱材付き屋根材です。
ニチハ株式会社は、主に外壁材を扱っているメーカーですが、屋根材も販売しています。
「超高耐久 横暖ルーフ」シリーズは、高耐食GLめっき鋼板に硬質ウレタンフォームの心材が裏打ちされている金属屋根です。
製品ごとに、塗膜とメッキが異なっています。
製品 | 塗膜 | メッキ組成 |
超高耐久 横暖ルーフα プレミアムS | フッ素樹脂塗装 | アルミニウム55%、亜鉛41.4%、シリコン1.6%、マグネシウム2% |
超高耐久 横暖ルーフ プレミアムS | フッ素樹脂塗装 | アルミニウム55%、亜鉛41.4%、シリコン1.6%、マグネシウム2% |
超高耐久 横暖ルーフα S 窯変 | ポリエステル塗装 | アルミニウム55%、亜鉛41.4%、シリコン1.6%、マグネシウム2% |
超高耐久 横暖ルーフαS | ポリエステル塗装 | アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6% |
超高耐久 横暖ルーフS | ポリエステル塗装 | アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6% |
超高耐久 横暖ルーフS 1820 | ポリエステル塗装 | アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6% |
硬質ウレタンフォームについては、飛び火性能の防耐火認定を受けているため、スーパーガルテクトと大差はありません。
また、「超高耐久 横暖ルーフα S 窯変」以外の商品は、遮熱鋼板なので、赤外線を反射する能力が高く、鋼板の温度上昇を防ぐことができます。
スマートメタル
ケイミュー株式会社が販売している断熱材付き屋根材です。
スマートメタルは、エスジーエル(SGL)による遮熱鋼板を採用しています。
耐風性や防水性の面でも優れていて、スーパーガルテクトと大差ない性能が期待できます。
エテルナ
株式会社メタル建材が販売している断熱材付き屋根材です。
エテルナもエスジーエル(SGL)と遮熱フッソ樹脂塗装による遮熱鋼板を採用しています。
海岸500m以遠で、穴あき25年、塗膜20年、変退色20年保証と優れた性能を有しています。
やはり、スーパーガルテクトと大差ない性能が期待できます。
断熱材付き屋根は主流となりつつある?
断熱材付き屋根、つまり、ガルバリウム鋼板やSGL鋼板などの金属屋根は、現在では主流の屋根材となりつつあります。
金属屋根が人気の理由は次のとおりです。
✅断熱性に優れていること
金属屋根は、断熱材と一体化していることから、断熱性に優れています。
夏に屋根からの熱気を防げると共に、冬場も室外の冷気が入り込むことや室内の暖まった空気が逃げていくことを防ぐことができます。
その結果、光熱費の節約にもつなげられるわけです。
✅軽量であること
金属屋根は、他の屋根材と比べても圧倒的に軽量であることから、耐震面で優れた性能を発揮することができます。
✅防水性能
金属屋根は、素材自体が防水性を有しているため、塗装しなくても、防水性能を維持することができます。
エスジーエル(SGL)のような耐食性に優れた金属であれば、サビの心配も少なく、穴が開いてしまうリスクも防ぐことができます。
✅デザイン面でも優れた商品が増えている
金属屋根は、スレート屋根などに比べるとデザインの面で劣ることが課題でした。
しかし、最近では、金属屋根の利用が広がっていることを受けて、様々なメーカーが金属屋根の商品を製造するようになっていて、選択肢が増えています。
断熱材付き屋根の選択で迷ったらどうすべきか?
今から、断熱材付き屋根を選ぶ場合は、次の点を考慮して選択肢をしぼるとよいでしょう。
耐久性を重視するのか?
遮熱性能を重視するのか?
デザインを重視するのか?
耐久性を重視する場合は、エスジーエル(SGL)と遮熱フッソ樹脂塗装による遮熱鋼板を採用している屋根材を選択しましょう。
エスジーエルはガルバリウム鋼板よりも耐食性に優れていますし、フッソ塗装が施されていれば、20年近い耐久性を維持することができます。
遮熱性能を重視する場合は、遮熱塗装が施されている商品や遮熱鋼板と明記されている商品の中から選択しましょう。
デザインを重視したい場合は、様々なメーカーのカタログを見比べて、気に入ったものを選択するとよいでしょう。
ガルバリウム鋼板や一般的な塗料でも、メンテナンスをしっかり行えば、長期間性能を維持することができます。
まとめ
スーパーガルテクトを初めとする「断熱材付き屋根」について紹介しました。
Re,ルーフは、京都市右京区を中心に活躍する屋根工事職人直営店です。京都市や亀岡市などを中心に京都府全域で屋根工事や雨漏り修理工事を承っています。職人直営店なので、本当に工事に必要な費用だけで屋根工事や雨漏り修理工事を行うことができます。
スーパーガルテクトやその他の断熱材付き屋根の選択で迷っている方はお気軽にご相談ください。
〈スーパーガルテクトの施工例〉