台風シーズン前に確認!風に強い屋根と弱い屋根の違い

台風シーズン前に確認!風に強い屋根と弱い屋根の違い

2025/05/02

近年は毎年のように大型台風が襲来し、甚大な被害をもたらしています。
台風シーズンを前に、屋根が次の台風に耐えられるか不安を感じる方も多いでしょう。
住まいを長持ちさせるためには、風に強い屋根の構造や修理・リフォーム費用の目安を知っておくことが重要です。

この記事では、台風シーズン前に確認すべきチェックポイントから、屋根材ごとの耐風性能、そして台風被害を受けた際に適用される可能性のある火災保険の活用方法まで、住まいを守るために知っておきたい情報を詳しく解説します。

台風シーズン前の屋根点検が重要

近年の台風は大型化・強力化する傾向にあります。「去年は大丈夫だったから、今年も大丈夫だろう」という油断は禁物です。毎シーズン、しっかりと点検・対策を行う意識が重要です。

強風・豪雨による屋根被害のリスク

台風による強風や豪雨は、屋根に様々なダメージを与えます。屋根材のズレや割れ、板金の浮きなど小さな不具合でも放置しておくと、そこから雨水が浸入し、以下のような深刻な事態を招く可能性があります。

雨漏り

室内に雨が浸入し内装を傷めるだけでなく、柱や梁など構造材が腐食し、建物の強度を著しく低下させてしまいます。これにより、地震などの災害時に倒壊のリスクが高まるだけでなく、日常生活においても床の軋みや壁の歪みなど、様々な不具合が生じる可能性があります。

シロアリ被害

雨漏りを放置するとシロアリ発生のリスクも高まってしまいます。シロアリは建物の内部を食い荒らし、構造をさらに脆弱にするため、放置すれば大規模な修繕が必要となるだけでなく、最悪の場合、建て替えを余儀なくされることもあります。

シロアリ被害の恐ろしさについてはこちらの記事を参考にしてください。
シロアリ被害に遭う前に!雨漏りとシロアリの関係について

屋根材の飛散

強風で屋根材が飛ばされると、自宅だけでなく、近隣の住宅や車、通行人に被害を与えてしまう二次被害のリスクがあります。このような二次被害が発生した場合、法的責任を問われる可能性もあり、高額な損害賠償請求を受けることもあり得ます。

修理費用の増大

例えば、瓦のズレや小さなヒビ、棟板金の浮きなどであれば、部分的な補修や固定で対応できる場合があります。初期段階で対処すれば簡単な修理で済むものが、台風によって被害が拡大すると大規模な修繕が必要となり、費用も高額になります。

屋根材の種類別・耐風性能比較

屋根材には様々な種類があり、それぞれ特徴や耐風性能が異なります。ご自宅の屋根材の種類を知り、その特性を理解しておきましょう。

瓦(陶器瓦・セメント瓦)

耐風性:★★★★
瓦は非常に耐久性が高く、メンテナンスが長期間不要というメリットがあります。重量があるため台風にも強いという特徴があります。
ただし、瓦自体は丈夫でも固定方法によっては強風でズレたり飛ばされたりする可能性があります。特に、土葺きなどの伝統工法や桟木に引っ掛けただけの固定方法の場合は注意が必要です。瓦を固定する力が弱く、風で飛ばされやすくなります。

防災瓦

耐風性:★★★★★

近年の新築住宅で主流となっている「防災瓦」と呼ばれる製品・工法は、瓦同士をしっかりかみ合わせ、釘やビスで固定するため耐風性能が格段に向上しています。台風対策として瓦屋根のリフォームを検討する際は、このような工法を選ぶことが重要です。

防災瓦についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、併せてお読みください。
▷地震や台風に強い瓦が存在する?「防災瓦」とはどんな瓦?

金属屋根(ガルバリウム鋼板、トタンなど)

耐風性: ★★★☆☆

金属屋根は非常に軽量で、建物への負担が少なく、耐震性に極めて優れています。特にガルバリウム鋼板は、サビに強く耐久性も高い人気の素材です。
屋根材自体は風を通しにくく丈夫ですが、軽量であるため一枚一枚をしっかりと固定する施工が非常に重要です。固定が甘いと、下から吹き上げる風によって剥がされたり、飛ばされたりするリスクがあります。

スレート屋根・アスファルトシングル

耐風性:★★☆☆☆

セメントを主原料としたスレート屋根やガラス繊維の基材にアスファルトを浸透させ表面に石粒を吹き付けたアスファルトシングルは薄い板状の屋根材で、軽量なため耐震性に優れています。しかし、素材自体が割れやすく、台風による飛来物などで破損することがあります。
また、経年劣化により表面の塗膜が剥がれたり素材自体が反ったりすると、強風で剥がれやすくなってしまいます。定期的なメンテナンスで、劣化を防ぐことが耐風性を保つ上で重要です。

風に強い屋根にするためのポイント

屋根の耐風性は屋根材の固定方法、下地材の状態、そして屋根形状によって大きく左右されます。

どんな屋根材でも、釘やビスの種類・本数、接着剤の使用など、下地への確実な固定が最も重要であり、定められた耐風基準を満たす施工が必須です。また、屋根材の下にある防水シート(ルーフィング)や野地板が劣化していると、屋根材をしっかり固定できず、耐風性が低下します。

何よりも大切なのは、何らかの異常が見られたときにはすぐに点検・対策をする姿勢です。次章ではご自身でできる台風シーズン前のチェック方法について解説します。

台風シーズン前の簡単チェックポイント

台風シーズンの前に、ご自身で確認できる範囲でチェックしてみましょう。ただし、屋根の上など高所に登ることは大変危険ですので、双眼鏡を使用するなどして地上や二階の窓などから目視で点検をするのが前提です。

屋根材

ご自宅の屋根を地上から目視でチェックする際には、まず屋根材全体を見渡し、屋根材にズレが生じていないか割れている部分はないか浮き上がっている箇所はないか剥がれている箇所はないかをチェックします。金属製の屋根材であればサビが発生していないかなも確認しましょう。
特に、屋根の端にあたる軒先やケラバと呼ばれる部分は、風の影響を直接受けやすく、被害が発生しやすい箇所です。これらの部分には特に注意して、屋根材のズレや浮きがないかを丁寧に確認するようにしましょう。

棟板金

屋根の頂上部分に取り付けられている棟板金は、風の影響を最も受けやすい箇所のひとつです。棟板金が浮き上がったり変形してしまったりしていないか、棟板金を固定するために打ち込まれている釘が緩んで抜けかかっていないかを丁寧に確認しましょう。釘が抜けかかっている場合は、放置すると強風時に棟板金が飛ばされてしまう可能性があり、大変危険です。

雨樋

雨樋が建物から外れかかっている箇所はないか固定金具が錆びていないかなどを確認しましょう。また、雨樋の中に落ち葉や土砂が溜まっていないかもチェックが必要です。特に雨の多い季節や、近隣に樹木が多い場合は、雨樋が詰まりやすいため注意が必要です。
雨樋が正常に機能しないと、雨水が適切に排水されず壁を伝って流れ落ちたり、思わぬ箇所から建物内部に浸水したりする原因となります。

セルフチェックの限界と専門家による点検の必要性

これらのセルフチェックは、あくまで簡易的なものです。
屋根全体の詳細な状態や、劣化の進行度合い、構造的な問題点などは、専門家でなければ判断が難しい場合がほとんどです。特に、築10年以上経過しているお住まいや、過去に台風被害を受けたことがある場合は、一度プロによる詳細な点検を受けることを強くおすすめします。

台風被害に火災保険は使える?知っておきたい申請のポイント

もし台風によって屋根が被害を受けてしまった場合、加入している火災保険が使える可能性があります。いざという時のために、基本的な知識を身につけておきましょう。

火災保険の風災補償

多くの火災保険には風災補償が付いており、台風や竜巻などの強風による建物や家財の損害に適用されます。例えば、強風で瓦やスレートが飛んだり、棟板金がめくれたり、飛来物が屋根に当たって破損したりした場合などが対象となります。

保険が適用されるケース

屋根の修繕に火災保険が適用できる条件は次の3つです。

✅風災・雹(ひょう)災・雪災などによる屋根の破損
✅被災から3年以内に申請を行う
✅補修費用が保険の免責金額を超える

台風による屋根の被害であれば、修繕に火災保険を利用できる可能性が高くなります。
台風災害が発生した具体的な日時を特定できるように、写真などの証拠を残しておくことが重要です。

保険の適用が難しいケース

火災保険の適用対象外となる主なケースは次のとおりです。
災害による損害を補填するという保険の性質上、火災保険は経年劣化には適用できないことにご注意ください。

✅免責金額以下の損害
✅経年劣化による損害
✅故意や重大な過失による損害
✅地震・津波・噴火・紛争などの原因による損害

保険申請の流れと注意点

台風被害に遭った際は、まず被害状況を写真で記録し、加入している保険会社へ連絡してください。その後、信頼できる修理業者に見積もりを依頼し、保険会社から送られてくる請求書類に必要事項を記入して提出します。
なお、保険金を使った無料修理を勧誘する業者の中には、保険金詐欺を行う悪質な業者も存在するため、注意が必要です。

まとめ

台風は時に甚大な被害をもたらしますが、事前の備えで被害を最小限に抑えることができます。まずはご自宅の屋根の状態に関心を持ち、セルフチェックを行いましょう。気になる点があれば専門家への相談が重要です。

屋根の点検や修理は専門的な知識と経験が必要です。京都市近郊で信頼できる業者をお探しの方は「Re,ルーフ」にご相談ください。本格的な台風シーズンが到来する前に点検をご依頼いただければ、経験豊富な屋根工事のプロがお客様の住まいをしっかりとチェックし、台風への備えをお手伝いします。