本葺き瓦の特性と一般住宅での採用メリット・デメリット
2026/01/22
瓦の葺き方には、本瓦葺きと桟瓦葺きの2種類があります。
本瓦葺きは、寺社、仏閣などで用いられることが多い重厚な葺き方です。一方、桟瓦葺きは、一般住宅で普及している、桟木に瓦を引っかける形で葺く方法です。
この記事では、本瓦葺きを一般住宅で採用した場合のメリット・デメリットについて解説します。
本瓦葺きと桟瓦葺きとは?

和瓦は、本瓦葺きと桟瓦葺きという二つの葺き方があります。
本瓦葺きは、丸瓦と平瓦という二種類の瓦を使い、土葺きと呼ばれる工法で葺いていきます。
つまり、野地板に土を置いたうえで、その上に丸瓦と平瓦を組み合わせて葺きます。
丸瓦は平瓦と平瓦の間に葺かれて、その隙間からの雨漏りを防ぐ役割を担っています。
また、丸瓦の軒先先端には巴瓦という模様のある瓦が用いられています。
一方、桟瓦葺きとは、一般住宅で使われている和瓦の葺き方で、野地板の上に設けられた桟木に瓦を引っ掛ける形で葺く工法です。丸瓦と平瓦に分けられておらず、一枚の瓦が、丸瓦と平瓦双方の機能を有しており、それを相互に組み合わせるだけで葺くことができます。
本瓦葺きが採用されている建物とは?
通常の桟瓦葺きの屋根も十分に重厚ですが、本瓦葺きの屋根は、それ以上に重厚な屋根になります。
城郭や寺社、仏閣などの純和風の重厚な建築物で採用されることが多いです。
一般住宅で用いた場合は、非常に格式の高い住宅に仕上げることができます。
伝統的な純和風住宅で、屋根が非常に大きな家には向いていると言えます。
また、土蔵などの屋根に本瓦葺きが採用されていることがあります。
本瓦葺きのメリットとは?
一般的な桟瓦葺きと比較した場合の本瓦葺きのメリットについて見ていきましょう。
耐用年数が非常に長い
一般的な桟瓦葺きの瓦の耐用年数は、50年程度とされています。現在普及している、軽量な屋根材と比較すると十分な耐用年数を誇っていると言えるでしょう。
本瓦葺きの瓦は、更に耐久性が高く、100年以上の耐用年数を持っています。
もちろん、100年全くメンテナンスが必要ないわけではありませんが、一般住宅の耐用年数としては十分過ぎるのではないでしょうか。
防火性が非常に優れている
一般的な桟瓦葺きの瓦でも十分に防火性が高く、防火性を意識するなら、瓦を選択するのが最適と言えます。
そして、本瓦葺きの瓦は、桟瓦葺きの瓦よりも分厚いことから、防火性に更に優れた屋根材ということができます。
外からのもらい火によって、屋根に着火するリスクが低くなります。
こうした特性から、土蔵の屋根には、本瓦葺きの瓦が用いられていることが多いです。
防水性が非常に優れている
一般的な桟瓦葺きの瓦でも雨水を通さないことから、防水性に優れていると言えます。
本瓦葺きの瓦は、桟瓦葺きの瓦よりもさらに分厚く、隙間なく葺かれることから、更に防水性に優れた屋根になります。
断熱性が非常に優れている
一般的な桟瓦葺きの瓦でも十分な厚みがある上、瓦と野地板の間に空気層が設けられていて、断熱性に優れています。
本瓦葺きの瓦は、桟瓦葺きの瓦よりもさらに厚みがあるため、断熱性が更に高くなります。
夏場は直射日光による強い日差しを遮るだけでなく、室内に熱が伝わるのを防止することができます。
一方、冬場は、室内の温まった空気が屋根から逃げにくくなるため、暖かい室内環境を維持することができます。
重厚で美しい屋根に仕上げることができる
一般的な桟瓦葺きの瓦でも重厚な屋根になりますが、本瓦葺きの瓦は、丸瓦による厚みがある上、特有の美しい曲線を作り出すことができます。
純和風の住宅の趣を作り出すことができ、格式の高い家に仕上げることができます。
屋根は地上からは見えないので、あまり気にならないかもしれませんが、本瓦葺きの瓦の場合は、地上から見上げたときに、丸瓦の軒先先端部分の巴瓦が見えるため、非常に意匠性の高い屋根になります。
本瓦葺きのデメリットとは?
一般的な桟瓦葺きと比較した場合の本瓦葺きのデメリットについて見ていきましょう。
非常に重い
瓦屋根は、現在普及している化粧スレート、金属屋根と比べると重い屋根材になります。一般的な桟瓦葺きの瓦も重量がありますが、一般住宅なら問題なく採用できることがほとんどです。
本瓦葺きの場合は、桟瓦葺きよりもさらに屋根に重量がかかります。
そのため、本瓦葺きに耐えられるだけの構造になっているのか、よく検討したうえで採用すべきことになります。
地震に弱い
瓦屋根は重量があることから一般的に地震に弱いとされています。
もちろん、化粧スレート、金属屋根のような軽量な屋根材を採用することで地震に対して強くなります。
ただ、屋根を軽くしただけでは、地震に対して劇的に強くなるわけではないため、屋根の軽量化以外の耐震工事も合わせて行う必要があります。
本瓦葺きの場合は、桟瓦葺きよりもさらに屋根が重くなるため、地震に対して弱い構造の建物になりがちです。それを補うためには、バランスよく耐力壁を配置するなど、しっかりした耐震工事を行うことが大切です。
高度な施工技術が必要
一般的な桟瓦葺きの瓦を葺く際も、高い技術が必要ですが、本瓦葺きの場合は更に高度な技術が必要になります。
瓦工事の職人でも、本瓦葺きは滅多にやらない人も多いため、確かな技術力がある職人でなければ、施工は難しいです。
また、技術力のある職人が施工する場合でも、桟瓦葺きと比べて手間がかかることから、工期が長くなります。
施工費用が高くなる
和瓦は、化粧スレート、金属屋根などの他の屋根材と比較しても、施工費用が高額になりがちです。
桟瓦葺きの瓦を葺く場合でも、瓦の費用、運搬、施工の手間がかかることから、高いコストが掛かります。
本瓦葺きの瓦を葺く場合は、桟瓦葺きに比べてさらに、製造、運搬、施工にかかるコストが上がります。
メンテナンスの際も費用がかかる
和瓦は、耐用年数が50年以上ですが、50年間、何もせずにいられるわけではありません。20年程度を目安に、メンテナンスが必要になります。
特に、防水シート(ルーフィング)は、それほど耐用年数が長くなく、20年もすれば防水性能がなくなり、雨漏りの原因となってしまうため、張替えが必要です。
その際は、すべての瓦を撤去して、防水シートを張り直さなければなりませんし、野地板も劣化状態によっては張替えが必要になります。
そのためには、屋根の葺き替えや葺き直し工事を行います。
本瓦葺きの瓦の場合は、葺き替えや葺き直し工事をするにしても、桟瓦葺きの瓦と比べて、手間がかかりますし、費用も高額になります。
現代の本瓦葺き瓦とは?

本瓦葺き瓦は、丸瓦と平瓦を別々に組み合わせて葺いていくため、手間がかかる上、高い技術が必要になります。
しかし、現在では、本瓦葺き瓦も進化しており、丸瓦と平瓦が一体化した「一体型本葺き瓦」という商品も登場しています。
一体型本葺き瓦の場合は、屋根の軽量化、施工の簡略化を図ることができ、本葺き瓦の最大の欠点である非常に重いという問題と、高い施工技術が必要になるという課題をクリアすることができます。
最近の寺社、仏閣の屋根には、見た目は本瓦葺き瓦でも、実際には、「一体型本葺き瓦」を採用しているケースも増えています。
本瓦葺きの屋根を長持ちさせるためには?
本瓦葺きの瓦は、桟瓦葺きの瓦と比べても分厚く、耐用年数が100年近くあると言われ、非常に耐久性が高い屋根材です。
しかし、耐久性が高い屋根材でも、100年もの間、全くメンテナンスしなくてよいわけではありません。
定期的な葺き替えや葺き直し工事が必要になります。
本瓦葺きの屋根を長持ちさせるためのポイントを紹介します。
✔屋根のズレや割れなどを定期的に確認する
本瓦葺きの瓦は、分厚く重量があることから、桟瓦葺きの瓦と比べてもズレにくく、割れにくいと言えます。
ただ、全くズレたり、割れたりしないとは限らないため、定期的なチェックが必要です。
ズレや割れが生じているのに放置した場合は、雨漏りの原因となってしまいます。
✔漆喰の点検と補修
本瓦葺きの屋根でも、桟瓦葺きの瓦と同様に、棟部分に漆喰が使われています。
屋根に使われる漆喰の寿命は20年程度しかありません。
20年も経つと、漆喰が剥がれやすくなり、剥がれてしまうとその隙間に雨水が浸入してしまいますし、棟瓦を支えている土台の土が流出してしまいます。
こうなった場合、棟瓦が崩れてしまいますし、雨漏りの原因になってしまいます。
✔大きな地震の直後は念入りに点検する
大地震の直撃を受けた場合、本瓦葺きの瓦でも、瓦がズレたり、崩れてしまうことがあります。
大震災のあとはもちろんですが、少し大きな地震の後でも、屋根の状態を確認して、ズレたり崩れたりしていないか確認することが大切です。
✔屋根にゴミが溜まっていないか点検する
本瓦葺きの屋根は、一段と高くなる丸瓦と低い平瓦が組み合わさることで、谷のような形を形成しています。
平瓦の部分にゴミが溜まってしまい、雨水が流れにくい状態になると、丸瓦の隙間に雨水が入り込んで、雨漏りにつながってしまうことがあります。
こうした事態を防ぐためにも、屋根にゴミが溜まっていないか定期的な点検が必要です。
まとめ
本瓦葺きの瓦は一般住宅でも採用することが可能です。本瓦葺きができる職人にお問い合わせください。
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