雨漏りを未然に防ぐ「ルーフィング材」の選び方と寿命について
2025/10/16
屋根材に異常がないのに、屋根からの雨漏りが発生していることはありませんか?
この場合は、屋根材の下に敷かれているルーフィング材が、耐用年数を過ぎて劣化していることがほとんどです。
ルーフィング材の重要性についてはあまり知られておらず、耐用年数が10年程度しかない安いものが使われていることが少なくありません。
この記事では、ルーフィング材の選び方や寿命について解説します。
ルーフィング材とは?
屋根からの雨漏りは、瓦、化粧スレート、金属屋根といった屋根材本体により防いでいると思われがちですが、実際はそうではありません。
屋根を作るときは、まず、小屋組という骨組みを角材で作ります。
その上に、構造用合板などの野地板を張り、屋根の形を形成します。
ここまでは全く防水性はありません。
そのあと、野地板に、「ルーフィング」と呼ばれる防水シートを張り巡らします。
このルーフィングが屋根からの雨漏りを最終的に防ぐ役割を果たしています。
そして、ルーフィングの上に、瓦、化粧スレート、金属屋根などを施工していくわけです。
ルーフィング材がない場合はどうなるか?
仮に屋根にルーフィング材が施工されていない場合は、屋根材自体の防水性が優れていても、雨漏りしてしまいます。
屋根材でもっとも防水性が高いのは金属屋根ですが、金属屋根でも、屋根を完全に密封できているわけではなく、重ね合わせて施工するものである以上、どうしても隙間が生じます。
その隙間から雨水が染み込むことは、最初から想定されています。
ただ、雨水が染み込んでも、ルーフィング材が施工されているのでその下の野地板まで浸透することはありません。染み込んだ雨水はルーフィング材の上を伝って、軒先まで流れ出るようになっています。
このように、ルーフィング材は、屋根からの雨漏りを防ぐために、屋根材と同等以上の役割を果たしています。
屋根材の耐用年数が長くても雨漏りが発生する理由
瓦は、耐用年数が50年から100年以上と非常に長いのが特徴です。
そのため、瓦を採用すれば、メンテナンスフリーで屋根からの雨漏りを心配する必要はないと思われるかもしれません。
しかし、そんなことはなくて、20年もすれば、瓦屋根でも雨漏りするようになります。
その理由は、漆喰の劣化など様々な要因がありますが、根本的な原因は、ルーフィング材が劣化していることです。
ルーフィング材の耐用年数は、10年から20年程度のものがほとんどです。
つまり、瓦の耐用年数がいくら長くても、ルーフィング材の方が先に劣化してしまうと、雨漏りにつながってしまうということです。
そのため、瓦でも、20年程度を目安に、瓦の葺き直しと共に、ルーフィング材の張り直し工事を行う必要があります。
ルーフィング材の寿命は?
一般的なルーフィング材の耐用年数は10年から20年程度とされています。
耐用年数10年のルーフィング材は安価なので、ローコスト系の建売住宅で利用されていることが多いです。
住宅瑕疵担保履行法という法律により、新築住宅を建てて売る場合、住宅事業者は、10年間の保証責任(瑕疵担保責任)を負うことになっています。
逆に言えば、10年間、雨漏りしなければ、住宅事業者が責任を問われることはないので、ルーフィング材のように隠れてしまう部材については、耐用年数10年程度の安いものを利用していることがあるわけです。
現在では、「改質ゴムアスファルトルーフィング」といい、耐用年数が20年から60年といった長さを誇るものも出てきています。
屋根のリフォームを行う場合は、こうした耐用年数の長いルーフィング材を採用するとより安心です。
ルーフィング材の種類
ルーフィング材は、様々なものが販売されています。代表的なルーフィング材を紹介します。
✅アスファルトルーフィング
アスファルトルーフィングは、現在の主流のルーフィング材です。
原紙にアスファルトを浸透させ、アスファルト層によって覆い、表面を鉱物質粉末と塗料が施されています。
アスファルトは、原油から生成されるもので、水を通さない性質(防水性)があります。
防水工事では、アスファルト防水と呼ばれる工法を用いることがありますが、これと同じものになります。
アスファルトルーフィングは、夏場は太陽の熱を帯びることで柔らかくなり、冬場は冷気によって硬化します。これを繰り返すことによって、次第に劣化が進んで、ひびや亀裂が生じるようになります。そこに雨水が浸透すると、野地板に雨水が浸透するようになり、雨漏りにつながってしまいます。
✅改質アスファルトルーフィング
アスファルトルーフィングは高温と低温にさらされ続けることによって、次第に劣化することが弱点です。
どのようなルーフィング材でも、高温と低温の繰り返しによる劣化は避けられませんが、素材を工夫することで耐用年数を延ばすことは可能です。
改質アスファルトルーフィングは、アスファルトルーフィングの状態変化による劣化の進行を遅らせるために、ゴム、合成樹脂、ポリマー、プラスチックなどを混入させて耐久性を高めたルーフィング材です。
耐用年数は20年以上のものが多く、中には、60年もの長さを誇るものもあります。
✅高分子系ルーフィング
アスファルトルーフィングは、アスファルトを利用していることから、シートでありながらかなりの重量があります。
例えば、アスファルトルーフィング940は、1㎡あたり940g以上の重量があります。1㎡だけで、米1kgほどの重さがあるわけです。
屋根は、軽量であることが望ましいわけですが、アスファルトルーフィングだけで、屋根の面積が50㎡なら約50kg、100㎡なら約100kgの重さが、屋根にかかることになります。
そこで、ルーフィング材も軽量化が進められています。
高分子系ルーフィングは、アスファルトを利用せず、合成ゴムや塩化ビニルを主な原料とするルーフィング材です。
アスファルトルーフィングと比べて1/3程度の重量であるのが特徴です。
✅透湿防水ルーフィング
透湿機能が備わったルーフィング材です。
外壁では、透湿機能が備わった防水シートを利用することが多いですが、屋根では、防水のみを重視して、透湿機能を考慮しないことが多いです。
その結果、野地板の湿気を外に逃がすことができず、長い年月が経つと、野地板が湿気によって腐ってしまうことがあります。
こうしたことを防ぐために、最近では、透湿機能が備わったルーフィング材が注目されています。
透湿防水ルーフィングは、防水性をしっかり確保しつつ、野地板に溜まった湿気を逃がす効果があります。
ルーフィング材を選ぶときの注意点
ルーフィング材としてどれを選ぶべきか、考える方は少ないと思います。
建売住宅を買った場合であれば、ルーフィング材の選択の余地はありませんし、そもそも、そこまで細かい専門知識がある方は少ないでしょう。
また、屋根のリフォームの際は、屋根材の選択にはこだわっても、ルーフィング材は、特に気にしていないケースも多いと思います。
しかし、屋根からの雨漏りは屋根材とルーフィング材がセットで防いでいるものなので、ルーフィング材にもこだわって選ぶことが大切です。
屋根材の耐用年数とルーフィング材の耐用年数を合わせる
屋根材の耐用年数が長くても、ルーフィング材の耐用年数が短い場合は、ルーフィング材の耐用年数が過ぎた途端、雨漏りするようになるので注意が必要です。
例えば、屋根材の耐用年数が25年以上であれば、この先、25年は屋根からの雨漏りを心配しなくていいと考える方が多いと思いますが、ルーフィング材の耐用年数が10年程度しかないものだと、10年経過してから雨漏りが発生するようになります。
こうした事態を避けるには、屋根材の耐用年数とルーフィング材の耐用年数を合わせることが重要です。
改質アスファルトルーフィングなどで、耐用年数が25年以上のものを選ぶようにしましょう。
ルーフィング材の耐用年数が長ければよいわけではない
現在では、耐用年数が60年超といったルーフィング材もあります。
ルーフィング材の耐用年数が長ければ長いほど良いとも言えますが、ルーフィング材だけで雨漏りを防ぐわけではないので、屋根材の耐用年数よりも長いルーフィング材を選択しても意味がないこともあります。
屋根材の耐用年数が過ぎた場合は、屋根材の葺き替え工事などが必要になります。
その際は、ルーフィング材も交換するのが基本なので、まだ使えるのにもったいないということになってしまうでしょう。
やはり、屋根材の耐用年数とルーフィング材の耐用年数を合わせるのが無難です。
ルーフィング材について何も言わないと安物を使われてしまう
ルーフィング材の重要性については、屋根の専門家以外ではあまり知られていません。
お客様からルーフィング材についてこだわっている旨のお話がない場合は、屋根業者が勝手に安いルーフィング材(アスファルトルーフィング940など)を選んでしまうことがあります。
屋根工事を行う際は、どこのメーカーのどんなルーフィング材を使うのか質問したり、要望を出すようにしましょう。
まとめ
屋根からの雨漏りを防ぐためには、屋根材だけでなく、ルーフィング材も重要な役割を果たしている事について解説しました。
Re,ルーフは、京都市右京区を中心に活躍する屋根工事職人直営店です。京都市や亀岡市などを中心に京都府全域で屋根工事や雨漏り修理工事を承っています。職人直営店なので、本当に工事に必要な費用だけで屋根工事や雨漏り修理工事を行うことができます。
屋根工事では、ルーフィング材についても、丁寧に説明したうえで、屋根材の耐用年数に合わせた適切なものを選ぶようにしています。
ルーフィング材について分からないことや不安なことがあればお気軽にお問い合わせください。